クラシック聴き比べの楽しみ 第3回~モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク

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クラシック音楽の醍醐味の一つが聴き比べです。同じ曲でも、異なる演奏で聴けば、かなり違って聴こえることもしばしば。より深く曲に親しむことができます。ここではそうしたクラシック音楽の聴き比べを曲ごとにご提案していきます。

これぞウィーンの響き!カール・ベーム&ウィーン・フィルによる名演!

モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

CD ユニバーサルミュージック UCCG-5334 国内盤

【ルビジウム・クロック・カッティング】
清冽な活気と優美な楽想を備えた珠玉の名作第13番。駅馬車用のポストホルンが巧みに用いられているところから標題が付された第9番。モーツァルトのセレナードのなかでも特に人気の高い、美しい旋律が次々と流れ出てくる2曲を、ベームが2大オーケストラを指揮した演奏で収録しています。音楽の本質をしっかりと捉えた瑞々しい演奏が繰り広げられており、ベームのモーツァルト指揮者としての真価を知るには格好の一枚といえるでしょう。
ユニバーサルミュージック

収録情報

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)

①セレナード 第13番 ト長調 K.525《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》
②セレナード 第9番 ニ長調 K.320《ポストホルン》

ジェイムズ・ゴールウェイ(フルート)(②)
ローター・コッホ(オーボエ)(②)
ホルスト・アイヒラー(ポストホルン)(②)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(①)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(②)
指揮:カール・ベーム

録音:1973年10月 ウィーン(①)、1970年5月 ベルリン(②)


 ピアノ曲、オーケストラ曲、協奏曲、室内楽曲、オペラ、合唱曲など多岐に渡るジャンルに傑作を残した天才作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。有名曲目白押しのモーツァルトの作品の中でも最も有名な旋律を持つ作品の一つが「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」でしょう。ベートーヴェンの「運命」と同様に、テレビCMやドラマ、映画に使われ、それにポップスにもなり、替え歌もよく作られています。日本でもお馴染みのメロディーでしょう。
 このタイトルはドイツ語(Eine kleine Nachtmusik)で直訳すれば「小さな夜の曲」、日本語では「小夜曲」という愛らしい訳で記されることもあります。あの冒頭のメロディーからは夜の曲とはちょっと意外ですね。実は「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」はセレナードというジャンルの曲で、このセレナードの元をたどると夜に歌われたり、奏でられたりすることものだったのだそうです。これが時代を下るにつれて、夜の演奏会で演奏される曲、野外で演奏される曲となっていったというのです。夜の演奏会で演奏される作品は、必ずしも夜をイメージして作られたわけではないので、この曲の夜の雰囲気というには意外な曲調も納得ですね。この曲も夜の演奏会で演奏されたのかもしれません。
 さて「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の代表的な演奏は、モーツァルトの母国オーケストラの指揮者とオーケストラによるこのカール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の録音でしょう。たっぷりとしたヴィブラートを伴うこれぞウィーン流というふくよかで優雅な演奏は、さながら社交界での貴婦人の舞踏。ウィーン・フィルの色彩豊かな音色がきらびやかです。第1楽章が突出して有名ですが、他の楽章も名旋律の宝庫。どこかで耳にしたメロディーもきっとでてくるはずです。ぜひ全楽章通してお聴きください。 
(山野楽器スタッフ)

ヴィブラートのない清新な響き!コープマンによる快活極まりない解釈!

『モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク』
トン・コープマン指揮アムステルダム・バロック・オーケストラ

CD ワーナー・ミュージック・ジャパン WPCS-21028 国内盤

多くの機会に高い賛辞を受け続ける生気に満ちた名演。
あまりにも有名曲となりすぎて、改めて聴く喜びを失ってしまいそうな作品のひとつが「アイネ・クライネ」でしょう。ところが現代の古楽界をリードする天才コープマンの演奏は新鮮です。特に奇を衒うこともなく、この名曲がもっている根源的な魅力を生き生きと再現した見事なモーツァルト。有名なK136を含む「3つのディヴェルティメント」とのカップリングです。
ワーナーミュージック・ジャパン

収録情報

モーツァルト:
1.ディヴェルティメント ニ長調 K.136 (125a)
2.ディヴェルティメント 変ロ長調 K.137 (125b)
3.ディヴェルティメント ヘ長調 K.138 (125c)
4.セレナード 第13番 ト長調 K.525 《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》

トン・コープマン指揮アムステルダム・バロック・オーケストラ

録音:1989年5月 聖バルトロメオ教会 [1-3]
   1988年11月 アムステルダム、ドープスヘジンデ教会 [4]

 ベートーヴェンの「運命」の記事でも触れたように、1980年代からは、ベートーヴェン作品と同様、モーツァルト作品も古楽器での演奏が増えてきています。これまでのモーツァルト演奏のスタイルとは異なる新しいモーツァルト演奏が登場していくのです。
 そんな新しいスタイルのモーツァルト演奏の筆頭とも呼ぶべき録音が、1988年に録音されたトン・コープマンとアムステルダム・バロック・オーケストラによる「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」でした。少人数の編成による弦楽器オーケストラの小回りの利く機能性、ヴィブラートをかけない(ノン・ヴィブラート)奏法、弾むようなリズム、颯爽としたスピード感。ノン・ヴィブラートの弦楽器による和音のぶつかりには、特にハッとさせられます。優雅なベーム&ウィーン・フィルの演奏に対比して例えるならば、さながら爽快なストリートダンスとでも言えるでしょうか。躍動感に満ちた生気あふれる演奏は、モーツァルトの作品を生き生きとよみがえらせています。
 カール・ベーム&ウィーン・フィル、トン・コープマン&アムステルダム・バロック・オーケストラ。どちらの演奏がしっくりくるかは、お好み次第。正解はありません。ぜひ聴き比べして、その違いをお楽しみください。
(山野楽器スタッフ)

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