必聴傾聴盤紹介~『J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲」/髙橋望』

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『J.S.バッハ: ゴルトベルク変奏曲 全曲 BWV988』
髙橋 望(ピアノ/ベーゼンドルファー、モデル275)
CD アクースティカ PPCA625~6(2CD)

収録情報

J.S.バッハ: ゴルトベルク変奏曲 全曲 BWV988
Disc1) Aria、 Variatio1-15(38:37) Disc2) Variatio16-30 、 Aria(43:59)
髙橋望(ピアノ/ベーゼンドルファー、モデル275)
録音:2023年1月25〜27日、相模湖交流センター

※バッハ演奏をライフワークとする高橋望、「ゴルトベルク変奏曲 (2015 年ライブ録音)」 、「平均律クラヴィーア曲集第 1 巻全曲」、「パルティータ・アルバム(第1,2,4番)」に続く第 4 弾としてゴルトベルク変奏曲を再録音しました。前回はライヴ 録音ということで即興性にとんだ演奏が聴けましたが、今回は 3 日間の時間をかけ、万全の体制でこれまでの演奏経験を活かした集大成として完成度の高い演奏が展開されています。そこには自然体で柔軟な躍動感に満ちたもので、作曲家への畏敬の念に溢れ、その清々しい音色と軽やかな表現は、バッハ音楽に新鮮な躍動感を与えています。
ライブ録音とはひと味違ったより完成度の高い演奏をお楽しみいただけます。
ACCUSTIKA

髙橋望(ピアノ)
埼玉県秩父市出身。園田高弘賞ピアノコンクール、ジーノ・ガンドルフィ国際ピアノコンクール(パルマ) で入賞。ドレスデン国立音楽大学でペーター・レーゼルに師事し国家演奏家資格を得て、同大学院マイスタークラス修了。バッハのゴルトベルク変奏曲をライフワークとし、同曲のリサイタルを毎年行う。 2015年の演奏が ライヴ 録音され CD(PPCA620) として発売された。それに続く第 2 弾「平均律クラヴィーア曲集第 1 巻全曲」 (YSL001) 、第 3 弾「パルティータ アルバム」 (PPCA624) とともに、各音楽雑誌で絶賛された。
NHKーFM 「名曲リサイタル」、 NHKーE テレ「らららクラシック」などにも出演していた。

 ドイツでペーター・レーゼルの薫陶を受け、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」をライフワークとし、毎年1月に演奏会を開き、高い評価を得ている注目のピアニスト、髙橋望。2015年にライヴ録音で収録された「ゴルトベルク変奏曲」がレコード芸術準特選を獲得し、その後発売された「パルティータ集」「平均律クラヴィーア曲集第1巻」ではレコード芸術特選を獲得、評論家筋やクラシック・ファンの高い評価を得ている現代屈指のバッハ弾きの一人と呼ぶにふさわしいピアニストです。
 そんな彼がバッハ録音の第4作目として、ライフワークとしている「ゴルトベルク変奏曲」を再録音!2015年のライヴ録音とは異なり、今回はセッション録音でじっくりと録音に臨んでいます。繰り返しも行い演奏時間も約80分とたっぷりとっています。
 ラジオ局「ちちぶエフエム」で「クラシック音楽への旅」という番組のパーソナリティを務め、さまざまなクラシック音楽を幅広く紹介している活動が示すように、たくさんの音源を聴き込んでいる髙橋望は、バッハやバロックの新録音も頻繁にチェックしていますので、かなりの数のゴルトベルク変奏曲の録音も聴いてきているのでしょう。日々の研鑽に加え、そうした観賞体験からさまざまな影響を受けながら、自らの「ゴルトベルク変奏曲観」を深めていったものと思われます。この録音では、その深めに深めた解釈を存分に堪能することができます。
 慈しむように弾かれるアリアからはじまり、髙橋自ら「出発」と表題を付けた第1変奏から意気揚々と音楽の「黄金の山」へ向かう旅に出ます(ドイツ語でゴルトは金、ベルクは山を示します。これについては解説でも触れられています)。全体を通して、左手の動きの明瞭さが特徴的で、各変奏で作り込まれたバッハの対位法が立体的に浮き上がってきます。また第4変奏などでは、明らかなチェンバロ演奏的発想で弾かれ、従来のピアノでの演奏とは一線を画す表現も聴かれます。時折加わる即興的装飾にも耳を奪われます。個人的には、第23変奏の思い切った表現に驚かされました。すべてを聴き通した後に聴く最後のアリアに、冒頭と同じ音楽であるのにもかかわらず、全く違う印象を抱かせるのは、髙橋自身が以前からことあるごとに提示し、この解説でも触れているT.S.エリオットの「長い旅の終わりに出発点に還りつく。そこは初めて出会う場所」の言葉通りの演奏がなされている証拠でしょう。
 最近では、ファジル・サイやヴィキングル・オラフソンら才能あふれるピアニストたちが、こぞって「ゴルトベルク変奏曲」」を録音し、話題を振りまいていますが、この髙橋望による新録音は、そうした話題の録音と比肩する録音と言っても過言ではないでしょう。さまざまな示唆を与えてくれるすばらしい録音の誕生です。(山野楽器スタッフ)

髙橋望のCD大好評発売中!
『J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲(2015年ライヴ録音)』(PPCA620)
『J.S.バッハ:パルティータ第1、2、4番』(PPCA624)
『J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻』(YSCL001/2)

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