~国内外で絶え間なく演奏を続けてきた一人のピアニストを通して半世紀以上に亘る日本の近現代音楽が色鮮やかに伝えられる~
戦後まもなく渡欧し70年余、山根弥生子が今日まで、国内外で機会あるごとに演奏してきた親交のあった日本の作曲家―道を切り拓いた先達たち、ともに歩んだ同世代たち―によるレパートリー。音楽評論家であった父・山根銀二を介して知り得た作曲家と池内友次郎門下の旧友の作品が一堂に会した、山根ならではの選曲となった。〈Disc 2〉では、牧野由多可と宍戸睦郎、両名の協奏曲の世界初演を含む、60〜70年代ドイツでの山根の貴重なライヴ音源を収録。
コジマ録音
Disc 1
宅孝二 Koji Taku(1904-1983)
ソナチネ Sonatine(1942)
[1] I. Allegro Molto
[2] II. Lento
[3] III. Allegro
松平頼則 Yoritsuné Matsudaira(1907-2001)
[4] 前奏曲 ニ調 Prélude en Ré(1934)
[5] 前奏曲 ト調 Prélude en Sol(1940)
六つの田園舞曲[抜粋] Six danses rustiques [Extracts](1939)
[6] I. Allegro
[7] III. Moderato
[8] V. Moderato
[9] VI. Allegro vivo
宍戸睦郎 Mutsuo Shishido(1929-2007)
鍵盤のための組曲[抜粋] Suite pour le Clavier [Extracts](1980)
[10] Adagio
[11] Toccata II
[12] 諸井誠 Makoto Moroi(1930-2013)
以呂波譬喩八題(いろはたとえはちだい) Eight Parables for Piano(1967)
「い」一寸先は闇 The future is a sealed book
「ろ」論語読みの論語知らずA mess scholar a mere ass
「は」針の穴から天井のぞくSee the sky through a funnel
「に」憎まれっ子世にはばかるIll weeds grow apace
「ほ」仏の顔も三度 Never ride a free horse to death
「へ」下手の長談義 Long sermon little attention
「と」年寄りの冷水 An old sack asketh much patching
「ち」塵もつもれば山となる Dust amassed will make a mountain
牧野由多可 Yutaka Makino(1930-2005)
日本古謡による二つの風俗 Two customs based on Japanese traditional songs(1967)
[13] わらべうた Warabe-uta
[14] 祭りばやし Matsuri-bayashi
清瀬保二 Yasuji Kiyose(1900-1981)
四つの前奏曲[抜粋] Four Preludes [Extracts](1947)
[15] I. Andante
[16] II. Allegro
[17] 琉球舞踊[抜粋] 〈I. Andante〉 Ryūkyū Dances [Extracts] – I. Andante(1936)
[18] 甲斐直彦 Naohiko Kai(1932-)
首里城での舞踏会 The Ball at the Castle of Shuri(2003)
Recording: 9-11 November 2022, 11 May & 21-22 June 2023 (Disc 1)
<録音> 2022年11月9-11日、2023年5月11日、6月21-22日 (Disc 1)
Disc 2
[1] 松平頼則 Yoritsuné Matsudaira
ピアノと管弦楽のための主題と変奏 Theme and Variations for Piano and Orchestra
(1951)
ウンターハルトゥング放送管弦楽団 ロベルト・ハネル指揮
ライブ録音 1966年10月6日 コングレスハレ(ベルリン)
Unterhaltungsorchester, Conductor: Robert Hanell
Recording (Live): 6 October 1966, Kongresshalle (Berlin)
牧野由多可 Yutaka Makino
ピアノとオーケストラのための協奏曲 第2番 Concerto for Piano and Orchestra No. 2(1970)
ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団 ロタール・ザイファルト指揮
ライブ録音 1971年11月19日 ドレスデン文化宮殿[世界初演]
Dresdner Philharmonie, Conductor: Lothar Seyfarth
Recording (Live): 19 Novermber 1971, Kulturpalast Dresden [World Premiere]
[2] I. Lento – Allegro
[3] II. Adagio
[4] III. Allegro vivace
宍戸睦郎 Mutsuo Shishido
ピアノとオーケストラのための協奏曲 第2番 Concerto for Piano and Orchestra No. 2(1975)
ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団 ヴォルフガング・ボーテ指揮
ライブ録音 1975年12月5日 ドレスデン文化宮殿[世界初演]
Dresdner Philharmonie, Conductor: Wolfgang Bothe
Recording (Live): 5 December 1975, Kulturpalast Dresden [World Premiere]
[5] I. Andante
[6] II. Allegro energico
山根弥生子〈ピアノ〉
Yaeko Yamane piano
Disc 2は当時のアナログ音源から変換されたため、音程の揺れやノイズが含まれています。
Due to being converted from analog sources at the time, Disc 2 contains pitch fluctuations and noise.
山根弥生子
パリ国立音楽院でラザール・レヴィに師事。1953年プルミエ・プリを得てピアノ科卒業。その後チューリッヒ、ベルリン、モスクワでそれぞれマックス・エッガー、ヘルムート・ロロフ、ヤコブ・フリエールのもとで研鑽。1958年マリア・カナルス国際コンクール第1位。1960年日本でデビュー以来、国内外で絶え間なく演奏活動を続けて今日にいたる。1970年と77年には東京でベートーヴェンの全32曲のピアノ・ソナタ連続演奏会を開き高い評価を得る。海外の演奏はフランス、イタリア、スイス、ドイツ、チェコ、スロヴァキア、ポーランド、ルーマニア、ブルガリア、ユーゴスラヴィア、ロシア、中国に及ぶ。レパートリーは古典、ロマン派から現代に及び、特に海外では日本の作品の演奏にも力を入れ、牧野由多可の《ピアノ協奏曲第2番》、《浄瑠璃幻想》、宍戸睦郎の《ピアノ協奏曲第2番》等を世界初演した他、松平頼則の《主題と変奏》も演奏している。国内のほとんどの主要オーケストラと共演し、国外でも多くの大都市のオーケストラ、旧レニングラードフィル(指揮アルヴィド・ヤンソンス)、ベルリン交響楽団(指揮クルト・ザンデルリング)、ゲヴァントハウス管弦楽団(指揮ヴァーツラフ・ノイマン)、ドレスデン・フィル(指揮クルト・マズア)等と共演。協奏曲のレパートリーは40数曲に及ぶ。1975年度福山賞受賞。2013年、日本人初のベートーヴェン全ピアノ独奏作品録音を完結。2014年、第26回ミュージック・ペンクラブ音楽賞(独奏・独唱部門賞)受賞。
~レーガー時代のオリジナルを保つオルガンと初演者の演奏法を継承する池田泉の超絶技巧が織りなす響きのマリアージュ!~
渦巻く大音量の残響、消え入るような色彩的最弱音…ライブならではのザウアー・オルガンとレーガーの魅力が満載。初演者シュトラウベ門下最高のレーガー演奏家ヴンダーリヒに学んだオルガニストが、クレッシェンド・ヴァルツェを使う当時の演奏法を駆使した、希少な録音!
コジマ録音
マックス・レーガー Max Reger(1873-1916)
バッハの名による幻想曲とフーガ 作品46
Phantasie und Fuge über den Namen BACH Op.46
[1] 幻想曲 Phantasie
[2] フーガ Fuge
ルター派の一般的なコラールのための簡単に弾ける52の前奏曲集より
Aus der 52 Leicht ausführbare Vorspiele zu den gebräuchlichsten evangelischen Chorälen Op.67
[3] 装いせよ、おお愛する魂よ
“Schmücke dich o liebe Seele” Op.67-34
[4] いざ来たれ、異邦人の救い主
“Nun komm, der Heiden Heiland” Op.67-29
30の小コラール前奏曲集より
Aus der 30 kleine Choralvorspiele Op.135a
[5] 栄光の全能の王である主を讃美せよ
“Lobe den Herren, den mächtigen König der Ehren” Op.135a-15
[6] 愛するイエスよ、我らここに集まり
“Liebster Jesu, wir sind hier” Op.135a-14
序奏、パッサカリアとフーガ ホ短調 作品127
Introduktion, Passacaglia und Fuge e-moll Op.127
[7] 序奏 Introduktion
[8] パッサカリア Passacaglia
[9] フーガ Fuge
[10] 「クリスマス」より終結のコラール
Das Schluss Choral von “Weihnachten” Op.145
Instrument: Sauer Orgel (1925)
<録音> ハレ(ザーレ)モーリッツ教会 2023年8月12日
Recording Location and Date: St. Moritz Kirche Halle (Saale), Germany, August 12th 2023
池田泉(オルガン)
Izumi Ikeda (Orgel)
池田泉
東京藝術大学及び同大学院でオルガン学び、在学中安宅賞受賞。DAAD給費留学生としてドイツ・ハンブルク音楽演劇大学で更なる研鑚を積んだ。オルガンをハインツ・ヴンダーリッヒ(ハンブルク)、アンリエット・プイグ=ロジェ(パリ/東京)、酒井多賀志、秋元道雄らに、歴史的奏法とチェンバロをマティアス・ジーデル、山田貢、鈴木雅明に、ピアノをミヒャエル・バイセンヒルツ、菅野洋子他に学んだ。
卒業後は東京藝術大学で非常勤講師としてオルガン専攻およびオルガン理論(通奏低音、演奏実践、オルガン研究、オルガンと音楽史)を担当した他、東京・富士見町教会や福岡中部教会オルガニストや青山学院や福岡女学院での教育活動に携わった。
そして、1998年よりホテル日航福岡が結婚式のために新設したゴシック様式の教会「チャペル・プリエール」の音楽監督兼オルガニストを務め、そこでフランス・ケルン社の三段鍵盤の大オルガンを演奏し、聖歌隊「コレギウム プリエール」を指揮している。その音楽活動は毎年200を超える結婚式での奏楽ばかりではなく、オルガンリサイタルから受難曲の上演までドイツのカントールのようなコンサートシリーズでの企画・演奏にも及んでおり、更に毎年のヨーロッパ各地でのコンサートツアーは国際的音楽家として特筆すべき充実ぶりである。これまでにドイツ/ハンブルク、リューベック、ブレーメン、シュヴェリン、フライベルク ナウムブルク、ケーテン、ヴィッテンベルク、エアフルト、リューネブルクなど)、フランス/パリ(ノートルダム、マドレーヌ、サン シュルピス)、オルレアン、ディジョン、トゥールーズ、ストラスブールなど)の他、イタリア、スイスなど各地の大聖堂や歴史的オルガンでのリサイタルは高く評価され、ハインツ・ヴンダーリッヒ門下に学んだオルガニストとして、特にマックス・レーガーやドイツ・ロマン派音楽の専門家として賞賛されいる。
一方、彼からオルガンを学んだ多くの人々が日本で優秀なオルガン奏者となっており、フリードリヒ・ラーデガスト(2005年)やロイプケ親子(2008年)についての論文執筆など、教育・研究活動でも成果を上げている。