必聴傾聴盤紹介~「VISION.BACH~ライプツィヒ時代の教会カンタータ第1集&第2集/ハンス=クリストフ・ラーデマン指揮ゲヒンガー・カントライ」

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『VISION. BACH~ライプツィヒ時代の教会カンタータ第1集【三位一体節後第1日曜日から第4日曜日まで】』
『VISION. BACH~ライプツィヒ時代の教会カンタータ第2集【洗礼者聖ヨハネの生誕祭から三位一体後第8日曜日まで】』
ハンス=クリストフ・ラーデマン指揮ゲヒンガー・カントライ
HAENSSLER
輸入盤CD 第1集 HC-23025(2CD) 第2集 HC-23026(2CD)

収録情報

VISION. BACH~ライプツィヒ時代の教会カンタータ第1集【三位一体節後第1日曜日から第4日曜日まで】
CD1
(1)カンタータ第75番『貧しい者たちは食べて』BWV75
(2)カンタータ第76番『天は神の栄光を語り』BWV76
CD2
(3)カンタータ第21番『わがうちに憂い満ちし時』BWV21(第3版/ライプツィヒ稿)
(4)カンタータ第185番『永遠の愛の慈悲深い心よ』BWV185(第2版/ライプツィヒ稿)
(5)カンタータ第24番『純朴な心』BWV24
(1)(2)ナターシャ・シュヌール(ソプラノ)、(3)(4)ミリアム・フォイアージンガー(ソプラノ)
(1)-(5)アレックス・ポッター(アルト)
(1)(2)パトリック・グラール(テノール)、(3)-(5)ベネディクト・クリスティアンソン(テノール)
(1)(2)トビアス・ベルント(バス)、(3)-(5)マティアス・ヴィンクラー(バス)
ゲヒンガー・カントライ、ハンス=クリストフ・ラーデマン(指揮)

録音:(1)(2)2023年5月14〜16日/リーダーハレ、ベートーヴェンザール(シュトゥットガルト)
   (3)-(5)2023年6月24〜26日/リーダーハレ、モーツァルトザール(シュトゥットガルト)
★J.S.バッハは1723年5月22日、ケーテンからにライプツィヒに移り住み、わずか8日後の5月30日に最初のカンタータを発表しました。その後、トマスカントールの仕事としてクリスマスとイースターに先立つ待降節と四旬節を除く毎週日曜日と祝日に、聖ニコライ教会と聖トーマス教会でカンタータを演奏してきました。
★シュトゥットガルト国際バッハアカデミーはこれらのカンタータをバッハが演奏した300年後にあたる2023年より年代順に演奏する全23回のコンサート・シリーズ(2023年5月13日〜2024年5月13日の予定)を開始。演奏会はシュトゥットガルトとその近郊で開催し、そのコンサートと連動し、演奏会翌日から数日かけて録音していくのが当シリーズです。
★シュトゥットガルト国際バッハアカデミーは1981年にヘルムート・リリングによって設立。2013年6月1日より、ハンス=クリストフ・ラーデマンが芸術監督を務めております。今回のコンサート・シリーズでは2022年に出版された「バッハ作品目録第3版(増補新版)Bach-Werke-Verzeichnis. Dritte, erweiterte Neuausgabe (BWV³)」を基に最新のバッハ研究を反映しております。
★ラーデマンの指揮のもとバッハアカデミーのアンサンブル、ゲヒンガー・カントライは独唱者を含み1声につき最大4人の声楽陣、そして器楽奏者で演奏。豪華な独唱陣とともにバッハが当時演奏した形を再現します。
★第1集の当アルバムは三位一体節後第1日曜日から第4日曜日までに演奏された5篇。ラーデマンが300年の時を経て、バッハの歩みを演奏で再現する大注目のシリーズが開始します!
キングインターナショナル

VISION. BACH~ライプツィヒ時代の教会カンタータ第2集【洗礼者聖ヨハネの生誕祭から三位一体後第8日曜日まで】
CD1
(1)カンタータ第167番『人々よ、神の愛を讃美しなさい』BWV167
(2)カンタータ第147番『心と口と行いと生活をもって』BWV147
CD2
(3)カンタータ第186番『つまずくな、おお魂よ』BWV186
(4)カンタータ第136番『神よ、私を究め』BWV136
(1)(2)ミリアム・フォイアージンガー(ソプラノ)、(3)エリザベート・ブロイヤー(ソプラノ)
(1)-(4)アレックス・ポッター(アルト)
(1)(2)ベネディクト・クリスティアンソン(テノール)、(3)(4)ユリアン・ハーバーマン(テノール)
(1)(2)マティアス・ヴィンクラー(バス)、(3)(4)ピーター・ハーヴェイ(テノール)
(1)(2)平崎真弓(コンサートマスター)、(3)(4)ヨナス・チェンダーライン(コンサートマスター)
ゲヒンガー・カントライ、ハンス=クリストフ・ラーデマン(指揮)

録音:(1)(2)2023年6月24~26日/リーダーハレ、モーツァルトザール(シュトゥットガルト)
(3)(4)2023年7月7&8日/ガイスブルガー教会(シュトゥットガルト)
★バッハ、ライプツィヒ時代(1723~1724年)のカンタータ演奏から300年後にあたる2023年より年代順に演奏する、シュトゥットガルト国際バッハアカデミー主催の大企画!全23回のコンサート・シリーズ(2023年5月13日~2024年5月13日の予定)はシュトゥットガルトとその近郊で演奏会を開催し、そのコンサートに連動し録音していくのが当シリーズです。
★シュトゥットガルト国際バッハアカデミーは1981年にヘルムート・リリングによって設立。2013年6月1日より、ハンス=クリストフ・ラーデマンが芸術監督を務めております。今回のコンサート・シリーズでは2022年に出版された「バッハ作品目録第3版(増補新版)Bach-Werke-Verzeichnis. Dritte, erweiterte Neuausgabe (BWV³)」を基に最新のバッハ研究を反映しております。
★ラーデマンの指揮のもとバッハアカデミーのアンサンブル、ゲヒンガー・カントライは独唱者を含み1声につき最大4人の声楽陣、そして器楽奏者で演奏。バッハが当時演奏した形を再現します。
★第2集の当アルバムは洗礼者聖ヨハネの生誕祭から三位一体後第8日曜日までの4篇を収録。「主よ、人の望みの喜びよ」でも有名なカンタータ第147番『心と口と行いと生活をもって』BWV147も演奏されております。この作品では日本が誇る平崎真弓がコンサートマスターを務めております。今後のリリースも期待が高まる注目シリーズです!
キングインターナショナル

 現代合唱指揮の最高峰、ハンス=クリストフ・ラーデマンと彼が率いるゲヒンゲン・カントライによるバッハのコンサート&録音シリーズ<VISION.BACH>がスタートしました!「バッハ作品目録第3版(増補新版)Bach-Werke-Verzeichnis. Dritte, erweiterte Neuausgabe (BWV³)」を基に、気鋭のバッハ研究者たちがプロジェクトに加わり、最新の研究が反映される演奏が期待できます。まず第1弾としてVOL.1とVOL.2が同時発売。ライプツィヒ時代のカンタータが取り上げられています。
 VOL.1は「ライプツィヒ時代の教会カンタータ第1集【三位一体節後第1日曜日から第4日曜日まで】」で、BWV75,76,21,185,24を収録。ライプツィヒ時代初頭に上演されたカンタータが上演された記録順に収められています。BWV21と185はライプツィヒ時代(トマス・カントルに就任する1723年から死去する1750年まで)に作曲されたわけではありませんが、それぞれライプツィヒ時代にも改定の上、再上演されているので、そのライプツィヒ改訂稿で収録されています。BWV21はヴァイマール時代の1714年に初演ですが、その後に幾度か改定され、1723年にライプツィヒで再上演。これが第3稿で、第9曲に4本のトロンボーンが加わるところが最も大きな変更となっています。また合唱部分ではソロとトゥッティに分かれ、音量の違いが立体感をもたらし、楽曲のドラマ性を増強しています。BWV185もヴァイマール時代の1715年に初演となっていますが、ライプツィヒ時代の1723年と1746か47年に再演されています。1723年の再演はBWV24と同じ日に上演された記録があります。
 VOL.1の白眉はなんといってもBWV21『わがうちに憂い満ちし時』。1714年、30歳前のバッハがかなりの力を注いで作曲したカンタータで、(おそらく間に牧師による説教を挟んだ)2部形式の大作です。第3稿となるライプツィヒ稿は、合唱部分のソロとトゥッティの交代による効果と4つのトロンボーンが加わる効果が絶大で、この大作をより大きなへと変貌させています。
 VOL.2もVOL.1に続くライプツィヒ時代のカンタータをBWV167、147,186,136と収録。もちろん白眉は、「主よ、人の望みの喜びよ」の名で知られるコラールを含むBWV147『心と口と行いと生活をもって』。1723年7月2日に初演され、その後も何度か再演されたようです。当時から人気曲だったのかもしれません。有名な「主よ、人の望みの喜びよ」の旋律を持つコラールは第6曲と最後の第10曲に現れます。どうしてもこの部分が際立ちますが、オボエ・ダモーレやオーボエ・ダ・カッチャ、トランペットが登場し、独唱によるアリアも凝っていて聴きごたえがあります。
 演奏は一貫して高水準で、ラーデマンの指揮の的確さを物語っています。上演順で収録されているということもあり、当時の聴衆と同じように前後するカンタータの違いを楽しむことができます。独唱者陣は、ソロ・カンタータの録音(PCHR77459)が世界的に高い評価を得ているソプラノのミリアム・フォイアージンガー、バッハを含むドイツ・バロックの教会音楽にも欠かせないカウンターテナー、アレックス・ポッター、ラーデマン指揮の「マタイ受難曲」の録音でエヴァンゲリストを歌うなどバッハ歌唱が高く評価されるパトリック・グラール、エヴァンゲリストとしても活躍し、個性的なバッハのアリア・アルバム(COV-92307)も注目されたテノール、ベネディクト・クリスティヤンソン、宗教曲の歌唱に定評があるラーデマンとも共演多数のバス、トビアス・ベルント、大ベテランのバス、ピーター・ハーヴェイら、ラーデマンが厚い信頼を寄せる歌手ばかりで、ラーデマンの解釈を各自で消化したすばらしい歌唱を聴かせてくれます。オーケストラのメンバー表はWEB上のみですが、それによると、VOL.1では、クリスティーネ・ブッシュと平崎真弓、VOL.2では、平崎真弓とヨナス・チェンダーラインがコンサータマスターを担当。ブッシュはヘレヴェッヘの録音の多くでコンサータマスターを務めたベテランで、ヨナス・チェンダーラインは幼いころからバロック・ヴァイオリンを学んでいたという新世代の若き俊英、そしてラーデマンも絶大な信頼を寄せる平崎真弓と、バッハの教会音楽演奏のスペシャリストたちが参加しています。そしてラーデマンが手塩にかけて育て上げた合唱団が揃い、最高のメンバーで最も新しいバッハ演奏を聴くことができます。声楽と器楽がいったいとなり、バッハのカンタータ演奏を作り上げていく様は圧巻です。バッハ演奏の新機軸となり得る最高のシリーズのスタートです!(須田)

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