●第10番
1953年独裁者スターリンが死去した年にこの第10番は作曲されました。強固な社会主義体制の中でもがき苦しみながら織り込まれた独自のメッセージ性はショスタコーヴィチ研究の焦点になり、仕掛けや暗号をモチーフにしているこの第10番も様々な解釈がされています。また、全15曲ある交響曲の中でも作曲の完成度や内容の深さで最高傑作の一つと言われています。
ショスタコーヴィチ研究の第一人者である一柳富美子氏が解説の中で、ソ連崩壊後に最も研究が進展しているのが第10番かもしれない、と言及しています。読み応えのある解説とともに自分なりの聴き方でショスタコーヴィチにアプローチできるかもしれません。
●道義のショスタコ
指揮者井上道義にとってショスタコーヴィチは生涯のテーマであり、その深く錯綜する心情に共鳴しつつ寄り添ってきました。「ショスタコーヴィチは自分自身だ」と言うほど、オーバーラップできる絶対的な何かがあるからこそ追求し続けられているのでしょう。何か…とは、ライナーノートの荒井英治氏(ヴァイオリニスト)の言葉を借りると、圧倒的な「コンチクショー的飢餓感」かもしれません。きっと引退後もショスタコーヴィチとともに生活しているのではないでしょうか。
2022年11月のN響との録音ですが、すでにロシア・ウクライナ戦争(2022年2月24日~)が始まっており、ショスタコが憑依したかの如く聴く者に様々な感情を抱かせる渾身の演奏となりました。
オクタヴィア・レコード
ウクライナの歌姫オクサーナ愛と平和への願いを込めて
ウクライナ出身のコロラトゥーラ・ソプラノ歌手であり、世界を代表するバンドゥーラ奏者のオクサーナ・ステパニュックによって弾き語りされたこの美しいアルバムは、「音楽の力で世界に平和を届
けたい」、「音楽を通じてウクライナの魅力を届けたい」そんな思いから祖国ウクライナの美しい調べを中心に収録されました。カッチーニのアヴェ・マリアやヘンデルの名曲のみならず、バンドゥー
ラ奏者、作曲家、教師としても多大な功績を残したS.バシュタンをはじめ、I.シャモ、A.コス=アナトルスキーなどウクライナの音楽を代表する作曲家たちによる作品が並び、ウクライナの伝統と音楽の
魅力を存分に味わうことができる1枚となりました。
オクタヴィア・レコード
◆バンドゥーラ (Bandura)
バンドゥーラは、ウクライナの歴史を語ることができる文化遺産そのものと言えます。
ソロ演奏や他の楽器の伴奏に使われるこの楽器は木製の本体(重さは約10kg)と63本の弦、特別な音孔を持つ独特な構造、深い感情や感動を表現できるユニークな音色を持ち合わせ、ウクライナの音楽の伝統と精神を反映し、国民的なアイデンティティの象徴となっています。
高崎芸術劇場≪T-Shotシリーズ≫第12弾!
リサイタル・録音・映像によって才能溢れる若手演奏家を多角的に紹介する、大友直人が贈る高崎芸術劇場の「T-Shotシリーズ」第十二弾。第46回ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリを
はじめ、数々の受賞歴を誇る北村明日人。東京藝術大学やスイス・チューリッヒ芸術大学で実力を磨き、本格派として評価の高いピアニストの初ソロCD+DVD。
[発売元・(公財)高崎財団]
オクタヴィア・レコード