クラシック聴き比べの楽しみ 第1回~ヴィヴァルディ「四季」

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クラシック音楽の醍醐味の一つが聴き比べです。同じ曲でも、異なる演奏で聴けば、かなり違って聴こえることもしばしば。より深く曲に親しむことができます。ここではそうしたクラシック音楽の聴き比べを曲ごとにご提案していきます。

「四季」といえば、これ!イ・ムジチの永遠の名盤!

イ・ムジチの《四季》~オリジナル・ジャケット・コレクション
イ・ムジチ合奏団
CD ユニバーサルミュージック UCCD-4826 6枚組 国内盤

■累計枚数300万枚!日本人の心に響き続ける永遠のベスト・セラー!
 1955年の初録音から1995年のデジタル録音まで、6種類の《四季》をフィリップス・レーベルに録音し、95年までの累計売上が280万枚、現在までに300万枚近くを売り上げているイ・ムジチ合奏団。ミケルッチ盤やカルミレッリ盤は毎週のようにクラシック・チャート50位以内にランクインしており、今なお売れ続けているクラシックの重要カタログ商品となっています。日本ツアーでは《四季》を必ず盛り込むなど、日本では《四季》といえば「イ・ムジチ」と言われるほどの人気ぶり。創立50周年記念ツアーとなった2011年の来日では、日本全国18か所でコンサートを行いました。
 このアルバムは、イ・ムジチによる6種類の《四季》を新マスターにより復刻、オリジナル・ジャケットをあしらった紙ケースにそれぞれ収納し、紙ボックス仕様で発売するものです。解説書には、イ・ムジチの歴史や6種類の演奏の特長、聴き比べのポイントなどを掲載予定です。オールド・ファンには懐かしく、聴き比べも楽しめるボックス商品です。

収録情報

アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741)
協奏曲集《四季》(協奏曲集『和声と創意への試み』作品8から)

ソリスト:
① フェリックス・アーヨ(1955年モノラル録音)
② フェリックス・アーヨ(1959年録音)
③ ロベルト・ミケルッチ(1969年録音)
④ ピーナ・カルミレッリ(1982年録音)
⑤ フェデリーコ・アゴスティーニ(1988年録音)
⑥ マリアーナ・シルブ(1995年録音)

イ・ムジチ合奏団


 ヴィヴァルディの「四季」は、300年前のヴェネツィアで書かれた音楽ながら、季節の移ろいの明確な日本でも古くから、日本でも古くから親しまれています。学校の授業やお昼休みで流れていた思い出を持つ方も多いことでしょう。またドラマや映画、CM、駅の発車ベルなどの音楽としても現在に渡るまで親しまれています。
 そんなヴィヴァルディの「四季」を広めた最大の功労者(グループ)は、イ・ムジチです。ヴィヴァルディの「四季」といえば、イ・ムジチ。日本人のヴィヴァルディの「四季」イメージを作ったのがイ・ムジチであることは疑いないでしょう。
 イタリアの弦楽合奏団、イ・ムジチは、1951年の結成当初からヴィヴァルディ演奏に力を入れ、特に「四季」は現在まで、何度も録音を行っております。たびたび来日公演を行い、日本での人気も絶大です。
 このアルバムは、1955年のモノラル録音から1995年のデジタル録音までのイ・ムジチの6種ルイの「四季」録音を集めたお求めやすいBOXセットです。日本でも発売当初から人気の高い1959年録音のアーヨ独奏盤、日本でクラシックとしては異例のミリオンセラーとなった1969年ミケルッチ独奏盤も含まれています。それぞれ録音した時代の趣味や研究成果を取り入れながらもイ・ムジチとしての個性を譜しなわない、まさに伝統と革新を融合したイ・ムジチの「四季」を時代を追って楽しむことができるセットです。発売当初のジャケットを再現した装丁も雰囲気あるもので、ヴィジュアル面にも注目です。
(山野楽器スタッフ)

既存のイメージを覆す衝撃の録音!カルミニョーラの「四季」

『ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」他
ジュリアーノ・カルミニョーラ(バロック・ヴァイオリン)

アンドレーア・マルコン(チェンバロ&指揮)
ヴェニス・バロック・オーケストラ
CD SONY
 SICC-30091 国内盤

バロック・ヴァイオリニストとして頭角を現してきたイタリアの名手カルミニョーラの、ソニー・クラシカル移籍第1弾となったアルバムは、彼とアンドレーア・マルコン率いるヴェニス・バロック・オーケストラがもっとも得意とするヴィヴァルディ、そしてその中でももっとも有名な「四季」が選ばれたというところに、このコンビの自信のほどが伺えます。カップリングには、ヴィヴァルティと同じころ、18世紀初頭にイタリアで活躍したヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリニスト、ロカテッリによるその名も「ヴァイオリンの技法」からの2つのヴァイオリン協奏曲を収録。
SONY CLASSICAL

収録情報

ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」
1.協奏曲ホ長調「春」作品8-1 RV.269
2.協奏曲ト短調「夏」作品8-2 RV.315
3.協奏曲ヘ長調「秋」作品8-3 RV.293
4.協奏曲へ短調「冬」作品8-4 RV.297

ロカテッリ:ヴァイオリンの技法 作品3より
5.ヴァイオリン協奏曲第10番ヘ長調 作品3-10
6.ヴァイオリン協奏曲第11番イ長調 作品3-11

ジュリアーノ・カルミニョーラ(バロック・ヴァイオリン)
アンドレーア・マルコン(ハープシコード、指揮、音楽監督)
ヴェニス・バロック・オーケストラ

録音:1999年11月 イタリア(1~4)、2001年5月 イタリア(5、6)

 20世紀半ばから始まり、特に1980年代から、作品が作曲された時代と同時代に作られた楽器またはその精巧なレプリカ(いわゆる古楽器、ピリオド楽器と呼ばれています)を使用し、その当時の演奏法を研究し、演奏するといういわゆる「古楽演奏」が隆盛していきます。これまでの演奏とは大きく異なる音色や響き、解釈を聴かせるその演奏の数々は、クラシック音楽界に衝撃を与えてきました。中でもヴィヴァルディの作品の録音は、それまでの演奏とは大きく異なる作品のイメージを提示し、古楽器によるヴィヴァルディ演奏は、一大ブームとなりました。イ・ムジチが作り上げた「四季」の牧歌的なイメージを完全に覆してしまいました。明暗・強弱の対比の激しいそれらの演奏は、美しくも荒々しく自然を表現、ヴィヴァルディの「四季」が発表当時も前衛的で革新的な作品であったことを現代に提示しました。
 そうした古楽器による「四季」の演奏の中で、ファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテ盤(NAIVE/OPUS111残念ながら現在廃盤)と並んで代表的なものが、バロック・ヴァイオリンの第一人者ジュリアーノ・カルミニョーラとヴェニス・バロック・オーケストラによる録音です。ヴィヴァルディが音楽で描いた自然が織りなす美と脅威、そして人の営みが、カルミニョーラとヴェニス・バロック・オーケストラの圧倒的表現で再現されています。特に「夏」の第3楽章は圧巻!「四季」という作品のすごさを知ることのできる1枚です。アーヨ&イ・ムジチとの表現の方向性の違いは明白ですので、ぜひ聴き比べてみてください!(山野楽器スタッフ)

表現に徹した驚愕の演奏!イル・ジャルディーノ・アルモニコの「四季」

『ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季
エンリコ・オノフリ(バロック・ヴァイオリン)

ジョヴァンニ・アントニーニ指揮イル・ジャルディーノ・アルモニコ
CD WARNER
 WPCS-16101 国内盤

“古楽”の老舗レーベル、テルデック&エラートの貴重なオリジナル楽器録音を再発売する“オリジナーレ”シリーズ。本作は、イル・ジャルディーノ・アルモニコのヒット作にして、ロングセラー・アルバム。テオルボやオルガンも動員し、ビート感あふれる演奏が魅力。バロック演奏のひとつの極点と言える名盤。
ワーナーミュージック

収録情報

アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741): 『和声と創意への試み』 作品8より 
協奏曲集『四季』 ~協奏曲 ホ長調「春」作品8-1(RV.269)
1 第1楽章:アレグロ
2 第2楽章:ラルゴ
3 第3楽章:アレグロ
協奏曲集『四季』 ~協奏曲 ト短調「夏」作品8-2(RV.315) 
4 第1楽章:アレグロ・ノン・モルト-アレグロ
5 第2楽章:アダージョ-プレスト
6 第3楽章:プレスト
協奏曲集『四季』 ~協奏曲 ヘ長調「秋」作品8-3(RV.293) 
7 第1楽章:アレグロ-アレグロ・アッサイ
8 第2楽章:アダージョ・モルト
9 第3楽章:アレグロ
協奏曲集『四季』 ~協奏曲 ヘ短調「冬」作品8-4(RV.297) 
10 第1楽章:アレグロ・ノン・モルト
11 第2楽章:ラルゴ
12 第3楽章:アレグロ
協奏曲 ニ短調 作品8-9(RV.454)(オーボエ協奏曲)
13 第1楽章:アレグロ
14 第2楽章:ラルゴ
15 第3楽章:アレグロ
協奏曲ト短調 作品8-8(RV.332) 
16 第1楽章:アレグロ
17 第2楽章:ラルゴ
18 第3楽章:アレグロ

[アーティスト]
エンリコ・オノフリ(ヴァイオリン)
パオロ・グラッツィ(オーボエ) -Tr.13-14
イル・ジャルディーノ・アルモニコ
ジョヴァンニ・アントニーニ(音楽監督)

録音年:1993年9月

 カルミニョーラ盤以前に、「四季」に衝撃を与えた問題作がこのイル・ジャルディーノ・アルモニコ盤です。楽曲に添えられたソネットのテキスト描写に徹したとんでもない解釈が連発し、聴き手を唖然とさせるほど衝撃的な解釈でした。例えば、「冬」の冒頭は、寒さで歯ぎしりする様を音楽で表現していますが、イル・ジャルディーノ・アルモニコの演奏は、ほとんどホラー映画の恐怖シーンのような怖さ。なにかが迫りくるような恐怖を伴う悪寒を感じさせます。また現在はバロック・ヴァイオリンの第一人者として日本でも高い人気を誇るエンリコ・オノフリの圧倒的な超絶技巧は目を見張るものです。いまでこそ、この路線の録音が増えてきているので、リリース当初ほどの衝撃度ではないですが、まさに過激・過剰な表現であり、イル・ジャルディーノ・アルモニコという先鋭的なピリオド楽器アンサンブルの名を一躍知らしめて記念碑的な録音でした。
 このイル・ジャルディーノ・アルモニコの録音とファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテの最初の録音(OPUS111 現在入手困難)こそが、ヴィヴァルディの「四季」の、そしてヴィヴァルディという作曲家のイメージさえも覆したのでした。ヴィヴァルディの「四季」が作曲当時としてもかなり「異質」なものであり、当時の聴衆にとっても衝撃的であったことを教えてくれる画期的録音です。(山野楽器スタッフ)

エンリコ・オノフリが示した新時代の「四季」!

『INTO NATURE 自然の中へ ヴィヴァルディ:「四季」(全曲)と母なる大地の様々な音色たち』
エンリコ・オノフリ(バロック・ヴァイオリン&音楽監督)
イマジナリウム・アンサンブル
CD Anchor Records/日音 UZCL-2226 国内盤

モダン・クラシックの演奏家たちが驚嘆し、共感し、その後の「四季」をはじめとした、古楽のリズムやテンポをグルーヴ感あふれる生き生きとしたものに変化させた『イル・ジャルディーノ・アルモニコのヴィヴァルディの四季』。そのソリストを若干26歳にしてつとめたエンリコ・オノフリが、また新たな光を「四季」にあてます。より「自然」に。自然の中に生きる人間のいとなみ、人生を想起させる新しい音楽がここに生まれました。共演するイマジナリウム・アンサンブルはオノフリが最も信頼する演奏家の集まり。イル・ジャルディーノ・アルモニコ、ポ・モ・ドーロ、イ・バッシフォンディなどに参加する、現代の古楽シーンで欠かすことのできない超一流の演奏家が参加しました。録音は様々な名録音を創り出している天才エンジニア、ジャン=ダニエル・ノワール。2018年ドイツ、ボッフムにてDXDで録音。
Anchor Records/日音

収録情報

ビアッジョ・マリーニ:2つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第1番 『去りゆけ 苦しみの心よ』
クレマン・ジャヌカン:4声のためのシャンソン『鳥の歌』(2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのために編曲)
タルクイニオ・メールラ:2つのヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音のためのカンツォーナ『ルシニョーラ』(うぐいす)
マルコ・ウッチェッリーニ:2つのヴァイオリンと通奏低音のためのアリア 第9番 『異種混淆:雄鶏とカッコウによる麗しき奏楽』
マルコ・ウッチリーニ:シンフォニア 第27番 『アルカディカ』(理想郷)
マルコ・ウッチリーニ:シンフォニア 第16番 『グランチフローラ』(大輪の花)
ステファノ・パシーノ:2つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第11番 『様々な野蛮動物の鳴き声を模倣して』
ヴィヴァルディ:和声と創意の試み 作品8より『四季』(全曲)

エンリコ・オノフリ(バロック・ヴァイオリン&指揮)イマジナリウム・アンサンブル
録音:2018年ドイツ、ボーフム

 衝撃のイル・ジャルディーノ・アルモニコ盤で、目を見張る圧倒的な超絶技巧でクラシック・ファンを驚愕させたバロック・ヴァイオリン奏者エンリコ・オノフリ。20代半ばでの「四季」の録音の後、イル・ジャルディーノ・アルモニコのコンサートマスター、ソリストを兼ねながら、自らのグループ「イマジナリウム・アンサンブル」を結成し、ヴィヴァルディやイタリア・バロック、そしてバッハなど数々の鮮烈な録音を残し、多くのクラシック・ファンを虜にしました。ソリストとして、また指揮者として頻繁に来日し、各地でマスタークラスも開催、彼の薫陶を受け活躍する日本人古楽演奏家が数多くいます。いまや押しも押されぬバロック・ヴァイオリンの第一人者となっています。
 そんなエンリコ・オノフリが約35年振りに「四季」の録音を行いました。ヴィヴァルディの「四季」を中心に、自然を主題とした16~17世紀の音楽で構成した斬新なプログラムとなっています。なんといってもイル・ジャルディーノ・アルモニコで過激なまでの表現をしていたエンリコ・オノフリです。この録音では果たしてどれほどの衝撃を与えてくれるのだろうと思っていると、まったく方向性の異なる解釈に驚かされることでしょう。極めて自然なその演奏を聴いていると、まさに広大で美しい「自然」が眼前に現れるかのよう。オノフリと仲間たちが奏でる「自然讃歌」は、「四季」の解釈に全く新しい地平を示しています。まさにこれからの時代の「四季」と呼べる演奏です。
(山野楽器スタッフ)

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