ブゾーニの珍しい室内楽作品を俊英たちが奏でる!

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『ブゾーニ×ストリングス~ブゾーニ:室内楽作品選集』
廣瀬心香(ヴァイオリン)森岡聡(ヴァイオリン)

古屋聡見(ヴィオラ)鈴木皓矢(チェロ)
北端祥人(ピアノ)

Regulus/RGCD-2004 国内盤
録音:2022年3月23日(ライブ録音を含む)

 ヴィルトゥオーゾ・ピアニストとして一世を風靡し、その技巧を駆使したピアノ作品で現代でも知られるフェルッチョ・ブゾーニ(1866-1924)。今最も知られているブゾーニの作品といえば、バッハの「シャコンヌ」のピアノ独奏用編曲版で、それに続く作品もバッハの編曲やバッハを基にしたピアノ独奏曲ですので、ここに取り上げられた室内楽作品は録音が大変珍しい作品群となります。弦楽四重奏曲第2番は、20代前半のブゾーニが苦悩の末に完成させたとされる作品で、ブラームスの影響下にありながら、陰影を帯びた音型や、複雑なリズムなどに個性が見られ、特に多様なフガート部分はブゾーニのバッハへのあこがれととらえてもよいかもしれません。そのバッハのチェンバロ作品をチェロとピアノ用に編曲した「半音階的幻想曲とフーガ」は、同曲のピアノ独奏編曲版を作成していたブゾーニが、自らの理想をより実現するためにチェロとピアノ版にし、半音階要素をさまざまな形で忍ばせた注目の編曲です。最後に収録されたヴァイオリン・ソナタ第2番は32歳の時の作品で、「私の最良の、もっとも個性的な作品であり続けています。」と自ら語った自信作。3つの楽章を内在化させた単一楽章からなる構成で、後半の変奏曲部分の主題となるのはやはりバッハのBWV517。自らの個性とバッハへのあこがれを室内楽でも融合させたブゾーニの作品の面白さが堪能できる内容です。日本の俊英たちによる演奏も、確かな技巧をもってブゾーニの作品の個性を際立たせるすばらしいものです。このアルバムでプロデューサーとディレクターと務めたブゾーニ研究で高く評価される音楽学者、畑野小百合による詳細な解説も読ませます。ブゾーニの室内楽はピアノ作品同様注目すべき作品群であることを示す1枚です。

収録情報

1-4.ブゾーニ:弦楽四重奏曲第2番 ニ短調
廣瀬心香(第1ヴァイオリン)森岡聡(第2ヴァイオリン)古屋聡見(ヴィオラ)鈴木皓矢(チェロ)
5.バッハ=ブゾーニ:半音階的幻想曲とフーガ(チェロ&ピアノ版)
鈴木皓矢(チェロ)北端祥人(ピアノ)
6-16.ブゾーニ:ヴァイオリン・ソナタ第2番 ホ短調
廣瀬心香(ヴァイオリン)北端祥人(ピアノ)

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