必聴傾聴盤紹介~『ヴィオローネの奥義』

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『ヴィオローネの奥義~蘇るコレッリのチェロの音色』
アレッサンドロ・パルメリ(ヴィオローネ)
リッカルド・ドーニ(チェンバロ、オルガン)
懸田貴嗣(バロック・チェロ)

録音:2012年
<Anchor Records/日音> UZCL-2245

 アレッサンドロ・パルメリは、バロック・ヴァイオリンの第一人者エンリコ・オノフリとの共演で知られるイタリアのバロック・チェロの名手。その卓越した技術と音楽性でオノフリの信頼が厚い奏者です。そのパルメリが2012年に録音しながらも、日本未発売となっていたソロ・アルバムがついに国内盤として発売されました。それがこの『ヴィオローネの奥義』です。
 ヴィオローネとは、古楽において一般的にコントラバスの役割を果たす低音弦楽器とされていますが、このディスクにおいて「ヴィオローネ」という名称が指す楽器はコレッリの楽団の演奏家であり、弦楽器の名工でもあったシモーネ・チマパーネ作の大型のチェロのことなのです。1685年に製作されたイタリアの国宝級と言われるこの楽器を用いてパルメリが演奏するのは、楽器製作年代と時代を同じくする17世紀イタリアの音楽。パルメリは、大型のチェロという形状を持つこの楽器の深い音色と豊かな倍音を駆使し、聴き手の体内に満ち響くかのような圧巻の演奏を繰り広げています。歌謡性にもあふれ、チェロが通奏低音楽器という役割から解き放たれ、ヴァイオリンと並ぶ弦楽器の独奏楽器として表舞台に現れるはじめた時を示しています。ピッチはa=390Hzという低めのピッチを採用。これはバロック時代のローマで用いられた低めのピッチだそうです。この低めのピッチの効果も絶大。なお、この楽器とコレッリの関係性についてはぜひブックレットの解説をお読みください。大変興味深い内容です。
 共演のリッカルド・ドーニと懸田貴嗣は、パルメリと同じくオノフリの信頼熱い演奏家で、パルメリとの息もぴったり。パルメリがチェロという楽器の隆盛を音楽で示したこの記念碑的アルバムを存分に盛り上げています。コレッリの活躍した時代のチェロ音楽、チェロが独奏楽器として光を当てられる黎明期の音楽を、歴史的楽器とすばらしい演奏でお楽しみください。

収録情報

ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィターリ:ヴィオローネのためのトッカータ
ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィターリ:ヴィオローネのためのルッジェーロ
ドメニコ・ガブリエッリ:リチェルカーレ第6番
ジョヴァンニーノ・ロレンツォ・ルリエール (ヴィオローネのジョヴァンニーノ):ヴィオローネと通奏低音のためのソナタ
ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィターリ:ヴィオローネのためのカプリッチョとパッサガッリ
ドメニコ・ガブリエッリ:リチェルカーレ第7番
ピエトロ・ジュゼッペ・ガエターノ・ボーニ:チェロと通奏低音のためのソナタ第10番
ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィターリ:ヴィオローネのための8つの音のテーマによるカプリッチョ
ドメニコ・ガブリエッリ:リチェルカーレ第5番
ジュゼッペ・コロンビ:ヴィオローネのためのトロンバ
ドメニコ・ガブリエッリ:ヴィオロンチェロと通奏低音のためのソナタ
ドメニコ・ガブリエッリ:カノン
ジュゼッペ・コロンビ:ヴィオローネのためのチャッコーナ

アレッサンドロ・パルメリ(ヴィオローネ)
リッカルド・ドーニ(チェンバロ、オルガン)
懸田貴嗣(バロック・チェロ)

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