必聴傾聴盤紹介~『レガシー/クリスティアン=ピエール・ラ・マルカ』

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『レガシー / クリスティアン=ピエール・ラ・マルカ』

クリスティアン=ピエール・ラ・マルカ(チェロ)
ジュリアン・ショヴァン(指揮、ヴァイオリン)ル・コンセール・ドゥ・ラ・ロージュ


NAIVE V7259 輸入盤
録音:2021年2月27-30日、パリ

曲目詳細

①ハイドン:チェロ協奏曲第1 番 ハ長調 Hob. VIIb:1
②ポルポラ:ラルゴ~チェロ協奏曲 ト長調より
③モーツァルト:協奏交響曲 イ長調 ~ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための協奏曲 K320e / K.Anh.104(断片)
                                  〔ロバート・レヴィンによる補完版〕
④グルック/ラ・マルカ編:精霊の踊り(『オルフェオとエウリディーチェ』より)
⑤ポルポラ:正しい愛、私を燃え上がらせた(『ヘスペロデスの園』より)
⑥ハイドン:チェロ協奏曲第2 番 ニ長調 Hob.VIIb:2

クリスティアン=ピエール・ラ・マルカ(チェロ)
ジュリアン・ショヴァン(指揮、ヴァイオリン)
アドリアン・ラ・マルカ(ヴィオラ( ③ ))
ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ
フィリップ・ジャルスキー(カウンターテナー( ⑤ ))

 優れたコンセプトによる個性的なアルバムを発売するなど、今フランスを中心に注目を集めるチェロの俊英、クリスティアン=ピエール・ラ・マルカが、現代ハイドン演奏の最先端を行く、ジュリアン・ショヴァン&ル・コンセール・ドゥ・ラ・ロージュと組んでハイドンのチェロ協奏曲を中心とする18世紀の作品集を録音!有名なハイドンのチェロ協奏曲2曲と、モーツァルトの初期の作品とされ、自筆譜による断片も残されている協奏交響曲(断片。ロバート・レヴィンによる補完版)、ラ・マルカが自ら編曲したグルックの「精霊の踊り」、ポルポラのチェロ協奏曲からラルゴとオペラ・アリアで構成されています。モーツァルトでは、指揮のショヴァンがヴァイオリンも兼ね、ヴィオラではラ・マルカの兄弟アドリアンが加わっています。またポルポラのアリアでは、現代を代表するカウンターテナー、フィリップ・ジャルスキーが参加する豪華メンバーです。
 冒頭のハイドンのチェロ協奏曲から、歌心にあふれたラ・マルカのチェロが躍動します。美しいチェロの音色に加え、カデンツァでは圧巻のテクニックも聴かせます。オーケストラとの一体感もあって、ハイドン作品の弾けるような明朗さを全身で表現しているかのようです。ポルポラのチェロ協奏曲のラルゴでは、まるでオペラのアリアのように情感あふれるチェロによる歌を披露、若きモーツァルトの協奏交響曲K320eでは、18世紀フランス要素が加わったモーツァルトの初期作品の特長が明確になっており、まるで天使たちの歌唱合戦のようなヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのやり取りを聴かせてくれます。ロバート・レヴィンによる補完版を使用しているとのことですが、これも実に自然な補完です。フルート曲として有名な「精霊の踊り」では、フルート・パートをチェロに置き換え、耽美ともいえる演奏を聴かせます。ポルポラのアリアでは、ジャルスキーの歌唱とラ・マルカのチェロの競演という至福が味わえます。最後のハイドンのチェロ協奏曲第2番は、第1番よりも15年ほど後に書かれたこともあり、円熟の作風にふさわしい堂々たる演奏で締めくくります。さまざまなコンセプト・アルバムを制作し、幅広いレパートリーを持つラ・マルカですが、この演奏によって、古典派の作品への高い適正が示されたアルバムと言えるでしょう。時代様式を踏まえ、奏法も表現方法も変幻自在。まさにミラクル・チェリスト!クリスティアン=ピエール・ラ・マルカより今後も目を離さずに!
  

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