必聴傾聴盤紹介~「バッハ家の管弦楽作品集」/ベルンハルト・フォルク(ヴァイオリン&指揮)ノイエ・フィルハーモニー・ヴェストファーレン

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『バッハ家の管弦楽作品集』
パヴェル・ストルガレフ(オーボエ)
ベルンハルト・フォルク(ヴァイオリン、指揮)
ノイエ・フィルハーモニー・ヴェストファーレン

CD CYBELE RECORDS SC-832301 輸入盤
※入荷まで数か月お時間がかかる可能性がございます。ご了承ください。

収録情報

バッハ家の管弦楽作品集
ヨハン・ベルンハルト・バッハ:管弦楽組曲 ト短調
カール・フィリップ・エマニュエル・バッハ:ハンブルク交響曲第5 番 ロ短調
ヨハン・クリスティアン・バッハ:交響曲 ト短調
J.S.バッハ:ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲 ハ短調 BWV1060

パヴェル・ストルガレフ(オーボエ)
ベルンハルト・フォルク(ヴァイオリン、指揮)
ノイエ・フィルハーモニー・ヴェストファーレン

録音:2021年5月4-6日 ノイエ・フィルハーモニー・ヴェストファーレン、グロッサー・ザール(レックリングハウゼン)

★ベルリン古楽アカデミーのコンサートマスターとしても活躍しているヴァイオリニスト、ベルンハルト・フォルクが指揮するバッハ・ファミリーの作品集。
★フランスの宮廷舞踏とイタリア器楽の妙技を融合させたヨハン・ベルンハルト・バッハの管弦楽組曲にはじまり、独創的で辛口、大胆なコントラストを駆使したカール・フィリップ・エマヌエル・バッハの「疾風怒濤」な交響曲、モーツァルトの小ト短調に影響を与えた荒々しい熱狂によるヨハン・クリスティアン・バッハの交響曲
を収録。
★最後におかれた大バッハのヴァイオリンとオーボエのための協奏曲は、2 台のチェンバロのための協奏曲から復元されたもので、二つの独奏楽器が効果的に組み合わされます。ジグザグ音型でエネルギッシュに展開していく終楽章は後の時代の激しい音楽を予感しているかのよう。
キングインターナショナル

 1985年からベルリン古楽アカデミーのコンサートマスターとして活躍する、ピリオド楽器界随一のコンサートマスターと言っても過言ではないベルンハルト・フォルクが、2014年から共演を続けているというドイツのオーケストラ、ノイエ・フィルハーモニー・ヴェストファーレンとバッハ一族の管弦楽作品集を意外なレーベルに録音。原題の『Bäche』は、小川を意味するBachの複数形で、このアルバムの内容を体現しています。
 アルバムはヨハン・ゼバステイアン(大バッハ)の再従兄であるヨハン・ベルンハルト・バッハ(1676-1749)の「管弦楽組曲 ト短調」から始まります。ヴァイオリン独奏と弦楽合奏、通奏低音という持ち、まるでヴァイオリン協奏曲のように独奏ヴァイオリンが活躍する様は、原型はこの楽曲と同じ編成だったとされる大バッハの管弦楽組曲第2番との関連性も探ってみたくなります。フランス風序曲から始まり、パスピエで終わる構成もその可能性を高めているようです。ヨハン・ベルンハルト・バッハの管弦楽組曲はここ近年再評価が著しく、その質の高い音楽が見直されています。
 続いて大バッハの次男カール・フィリップ・エマヌエルの「ハンブルク交響曲第5番 ロ短調」。「疾風怒濤」期の代表作とされる6つのハンブルク交響曲(Wq.182)の中でも、嵐のような激しさが顕著で、まさに「疾風怒濤」の名にふさわしい作品です。
 次は、大バッハの末っ子ヨハン・クリスティアンの「交響曲 ト短調 Op.6-6」。短調作品が少ないヨハン・クリスティアンの作品にあって珍しい短調であり、同じ調性からモーツァルトの「交響曲第25番 ト短調」(小ト短調)への影響も指摘されています。第1楽章の冒頭などはまさにモーツァルトの「小ト短調」を思わせます。伸びやかで明るい作品がほとんどを占めるヨハン・クリスティアンの荒々しい側面が抄出している珍しい作品です。
 最後は、大バッハの「オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ハ短調 BWV1060」。現存する「2台のチェンバロのための協奏曲」からの復元として、現在ではオーボエ奏者の貴重なレパートリーとなっている協奏曲です。技巧的なオーボエとヴァイオリンのパッセージと、4つの音符の連なりを拡大していく印象的な旋律が特徴的な作品で、バッハの協奏曲の中でも屈指の名作として人気を集めています。
 フォルクは、自らヴァイオリンを奏でながら、ノイエ・フィルハーモニー・ヴェストファーレンを指揮し、ピリオド楽器奏法を用いながらも、モダン・オーケストラの機能性を生かし、コントラストの強い音楽づくりを見せ、すべて短調であるバッハ一族の楽曲の「明暗」「対比」を明確に浮かび上がらせています。そのスリリングな演奏には心躍らされることでしょう。ピリオド楽器オーケストラの最先端を走り続けるベルリン古楽アカデミーで、60を超える録音のコンサートマスターを務めてきたフォルクの音楽づくりは、モダン・オーケストラとの共演でも、聴き手を心をつかむことが巧みです。さすが!(山野楽器スタッフ)

ちなみに…

このアルバムでヴァイオリン独奏と弾き振りによる指揮を務めるベルンハルト・フォルクは、1986年にハンス・アイスラー音楽大学を卒業後の1986年にベルリン交響楽団の団員になりました。当時から歴史的演奏法に興味を示していたフォルクは、ザルツブルク・モーツァルテウムでニコラウス・アーノンクールに指導を受け、1982年にはベルリン古楽アカデミーのメンバーとなり、1985年からはベルリン古楽アカデミーのコンサートマスターに就任します。その後、現在までベルリン古楽アカデミーの名物コンサートマスターとして、名声を確立、数多くの録音や来日公演でもその妙技を聴かせてくれています。1996年からはベルリン・フィルのメンバーから成るバロック・グループ、ベルリン・バロック・ゾリステンとの共演も開始し、モダン楽器のオーケストラやアンサンブルとの共演も積極的に行っています。2014年から共演を続けるノイエ・フィルハーモニー・ヴェストファーレンとの演奏は、フォルクの強い音楽性を理解したオーケストラとの相性の良さを感じさせてくれます。

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