必聴傾聴盤紹介~「モンテヴェルディ:マドリガーレ全集」/リナルド・アレッサンドリーニ&コンチェルト・イタリアーノ

  • URLをコピーしました!

『クラウディオ・モンテヴェルディ(1567-1642):マドリガーレ全集』
リナルド・アレッサンドリーニ指揮コンチェルト・イタリアーノ

CD NAIVE OP7547(11CD) 輸入盤
※入荷までお時間がかかる可能性がございます。ご了承ください。

収録情報

クラウディオ・モンテヴェルディ(1567-1642):マドリガーレ全曲
[CD1] マドリガーレ集 第1 巻(初出)
マドリガーレ集 第9 巻(初出)
[CD2] マドリガーレ集 第2 巻
[CD3] マドリガーレ集 第3 巻
[CD4] マドリガーレ集 第4 巻
[CD5] マドリガーレ集 第5 巻
[CD6] マドリガーレ集 第6 巻
[CD7-8] マドリガーレ集 第7巻
[CD9-11] 愛と戦いのマドリガーレ(第8巻)

リナルド・アレッサンドリーニ(指揮)
コンチェルト・イタリアーノ

録音:第1巻:2021年1月23-25日、第2巻:1994年5月、第3巻:2019年5月31日-6月2日、第4巻:1993年5月、第5巻:1996年5月、第6巻:2005年12月、第7&9巻:2020年10月、第8巻:1997年2月&1998年1月

★アレッサンドリーニ&コンチェルト・イタリアーノによる、モンテヴェルディ:マドリガーレ全曲録音が完成しました!ボックスで登場いたします。1993 年に第1弾として第4巻を録音してから実に約30 年という長い時間をかけての録音となりましたが、こうしてまとめて聴いてみても、93 年の録音もまったく古さを感じさせない「アレッサンドリーニ」流。歌い手たちから実にやわらかな声を引き出し、旋律の美しさを全面に出しながらもポリフォニーの醍醐味も味わわせてくれる素晴らしものです。ぜひ持っておきたいボックスといえるでしょう。
キングインターナショナル

 リナルド・アレッサンドリーニが1984年にコンチェルト・イタリアーノを結成して、40年が経過しようとしています。当時20代半ばのアレッサンドリーニが、グループの主要レパートリーとして取り上げたのが、器楽曲ではヴィヴァルディ、そして声楽曲ではモンテヴェルディでした。1980年代では、モンテヴェルディのマドリガーレ録音の中心となっていたのは、イギリス古楽勢でした。特にアントニー・ルーリーとコンソート・オブ・ミュージックによる一連の録音は、世界中で高く評価されました。また「聖母マリアの夕べの祈り」はガーディナーが、「オルフェオ」の録音はロンドン・バロックが、と、現代におけるモンテヴェルディ・ルネサンスはイギリスから始まったと言っても過言ではない状況でした。そんな中、若きアレッサンドリーニは、母国モンテヴェルディの作品をイタリア人歌手&演奏家たちによって録音し、その真価を問おうとしていたのです。
 アレッサンドリーニは、優れたイタリア人歌手を集め、1980年代後半にはTACTUSレーベルでマドリガーレ第1巻と第2巻の選集を録音、そして1992年にマドリガーレ集第6巻をARCANAレーベルに録音しました。この第6巻の録音は、それまでのイギリス勢の歌唱とは全く異なるイタリア人による超濃密なテキスト表現が示された画期的歌唱で、リリースからすぐに世界中でセンセーションを巻き起こしました。
 その後、アレッサンドリーニとコンチェルト・イタリアーノはOPUS111レーベル(現NAIVE)に移籍し、1993年からモンテヴェルディのマドリガーレ集を録音し、こちらも世界的に大評判となる画期的な録音となったのです。
 しかし、1998年の第8巻「愛と戦いのマドリガーレ集」の録音以降、モンテヴェルディのマドリガーレ集の録音は中断してしまいました。その間にヴィヴァルディやバッハをはじめとする数々の鮮烈な録音を発表していたものの、モンテヴェルディのマドリガーレ集の続きは録音されないままでした。
 そんな中、2005年に突如として第6巻の再録音がなされ、参加メンバーはかなり変わったものの、旧録音にも勝るとも劣らない濃密な表現でファンを喜ばせました。
 その後、曲集ごとの録音ではない選集的な内容で録音が発表されていたものの、曲集単位での録音は間が空いてしまい、ようやく第3巻が2021年に、第7巻が2022年にリリースされ、全集完成への期待感が高まっていました。そして2023年末になってリリースされていなかった第1巻と第9巻の録音が収録され、BOXという形でついに全集が完成したのです。
 モンテヴェルディのマドリガーレ集は、第1巻から第4巻までのルネサンス・ポリフォニーによる静謐な美の中にもテキストの表現が加えられ、第5巻では器楽も加わり、一気に時代はバロックの様相を呈していきます。第6巻では器楽は一度排除され、声の表現力が実験的なまでに試され、第7巻以降は器楽をふんだんに用いた強烈な音楽を示すようになります。特に「タンクレディとクロリンダの戦い」を含む第8巻で見せるテキストから愛憎渦巻く人間の感情を暴力的なほどに引き出し、新しい時代の音楽を確立しました。
 こうしたモンテヴェルディのマドリガーレ集をアレッサンドリーニとその仲間たちは、丁寧にテキストを読み、古いイタリア語の発音まで研究し、徹底的なテキスト表現と精緻なアンサンブルを両立させる圧巻の歌唱を聴かせてくれます。30年近い年月の経過があるにも関わらず、アレッサンドリーニの徹底した音楽性が貫かれている点もすごいことでしょう。クオリティの高さはすべての録音で保たれているのです。
 メンバーに目を向けると、ロサンナ・ベルティーニ、クリスティーナ・ミアテッロ、モニカ・ピッチニーニ、クラウディオ・カヴィーナ、ヴァレリオ・コンタルド、ジュゼッペ・マレット、サンドロ・ナリア、ロベルト・アッボンダンツァ、ダニエレ・カルノヴィッチら、ソリストとして指揮者としてイタリア古楽界の中心となる歌手ばかり。器楽陣もアレッサンドリーニ自身によるチェンバロはもちろん、ボリス・ベゲルマン、マウリツィオ・ナッデオ、ルイジ・ピオヴァーノ、ヴィットリオ・ギエルミ、マラ・ガラッシ他、豪華なメンバーが揃っています。第5巻では、アレッサンドリーニと袂を分かつ前のファビオ・ビオンディも参加していました。
 モンテヴェルディ録音を語る上でマスト・アイテムとなるこのBOXセットは、古楽演奏録音史に残るスタンダード録音として語る継がれていくでしょう。
 (山野楽器スタッフ)

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

Be Happy With Music
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次