2024年に生誕200年となる偉大なるシンフォニスト、アントン・ブルックナー。この記念の年に注目のアルバムをご紹介します。ここでは巨匠たちによる名盤をご紹介します。
ルーマニア出身の巨匠指揮者セルジュ・チェリビダッケが晩年に最も得意としたブルックナーの交響曲。その中でも、その極大のスケールと微速前進のテンポ、そして極めて個性的な解釈で仕上げられていたのが交響曲第8番で、当ディスクには1990年10月の日本公演中、サントリーホールでライヴ収録された伝説的な演奏が収められています。この時期はまさにチェリビダッケと手兵ミュンヘン・フィルが最も密度の濃い演奏をおこなっていた絶頂期にあたり、いくら遅いテンポをとっても高い緊張感を失わず、ホールを揺るがすような大音響を奏でても決して濁らない透明感のあるサウンドを保持するという奇跡的な存在であったことを聴きとることが出来る空前絶後の名演です。
SONY CLASSICAL
ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調
セルジュ・チェリビダッケ(指揮)ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1990年10月20日、東京、サントリーホール(ライヴ)
当ディスクのブルックナー「ロマンティック」は、ギュンター・ヴァントのラスト・レコーディングとなったもの。2001年10月から11月にかけて、89歳のヴァントは北ドイツ放送響のこのブルックナー「ロマンティック」をメインの演目とするハンブルク定期を3回振った後、故郷ヴッパータールとフランクフルトへのツアーを行ない絶賛を浴びましたが、翌年90歳の誕生日を迎えた1か月後に逝去したため、これらがヴァントにとって生涯最後の演奏会となりました。当ディスクの演奏はそのハンブルク定期で収録されたもので、ひたすら音楽に奉仕してきたヴァントの生涯最後を飾る大演奏。緻密さと自由さが絶妙に組み合わされ、巨匠の歩みを完結させるかのような美しい「白鳥の歌」です。
SONY CLASSICAL
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
[1878-1880年第2稿(ハース版)]
ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団[現:NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団]
録音:2001年10月28日~30日
ハンブルク、ムジークハレでのライヴ・レコーディング
DSDマスタリング
【ウェストミンスター創立75周年記念】【UHQCD】
20世紀を代表する大指揮者、クナッパーツブッシュ(1888-1965)が最も得意としたブルックナーとワーグナーのカップリングで、ともに晩年の録音です。とくにブルックナーの第8交響曲は、彼の活躍した時代の背景もあって、シャルク改訂版による演奏ですが、その悠然たる魂の音楽は比類ない高みに達しており、最高の名演奏ということができます。
ユニバーサルミュージック
ブルックナー:
- 交響曲 第8番 ハ短調
(1892年初出版=シャルク改訂版)
ワーグナー: - 歌劇《ローエングリン》:第1幕への前奏曲
- ジークフリート牧歌
- 舞台神聖祝典劇《パルジファル》:第1幕への前奏曲
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ハンス・クナッパーツブッシュ
録音:1963年1月(1)、1962年11月(2-4)
ミュンヘン、バヴァリア・スタジオ 【ステレオ録音】
★ブロムシュテット&ゲヴァントハウス管によるブルックナーの交響曲全集がACCENTUS MUSICより新装丁となって発売します。2005年~2012年にかけて録音された両者のブルックナー交響曲全集は、以前Querstandレーベルより発売されていましたが、ライセンス切れのためしばらく市場に流通しておりませんでしたが、この度2024年のブルックナー・イヤー目前にACCENTUS MUSICより待望の再発売がなされました。
★ブロムシュテットのブルックナー録音といえば、かつてシュターツカペレ・ドレスデンを指揮して第4番(1981/DENON)と第7番(1980/DENON)を録音。その後サンフランシスコ響と録音した第6番(1990/DECCA)、第4番(1993/DECCA)、そしてゲヴァントハウス管と録音した第9番(1995/DECCA)は、現在でも根強い人気がある名盤です。さらには、バイエルン放響との第9番(2009)、ベルリン・フィルとの第3番(2017)があり、それらは近年のブロムシュテットの好調ぶりを伝える見事なもので、ブロムシュテットのブルックナー観が色濃く投影された緻密な演奏を聴かせています。
★そしてゲヴァントハウス管とともに7年を経て完成させた本セット。1998年、クルト・マズアの後任として音楽監督に就任したブロムシュテット。2005年の任期満了までその厳しいトレーニングで機能性と音色にさらに磨きをかけ、引き締まった力強いサウンドに鍛えなおしたブロムシュテット。7年間に渡って、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のシェフとして、絶大な信頼を獲得し、現在も名誉指揮者として定期的に指揮台に立っています。
★ブルックナー自身が「小生意気な娘」と呼んでいたとも言われている第1番。同曲の録音は本盤が唯一のブロムシュテット。初期の作品でありながらも、その響きはブルックナー独自の語法が見え隠れし、後年の大成を予見させる作品と言えます。第2番にも初期作品ながら、すでにブルックナーの個性は横溢しています。ブロムシュテットの指揮は細部まで表情豊かであり聴きものです。ワーグナーに献呈されたことから「ワーグナー交響曲」の愛称をもつ第3番。しかし1874年にウィーン・フィルから初演を拒否されたことから最初の校訂作業が行われ第3稿まで存在します。ブロムシュテットは、20世紀中頃から見直されるようになった1873年初稿版を取り上げています。ブルックナーの交響曲の中でもっとも演奏される第4番。冒頭のホルンをはじめ、美しい旋律に溢れています。ブロムシュテットも同曲は2度録音している手中にある作品です。そして第5番は、ブルックナーの生涯の中で困難な時期を象徴する楽曲です。作曲家としての実力を示す精緻な対位法とブルックナー自身の深い信仰心をあらわす神聖なコラールという構成で、ブロムシュテットのより構築的な魅力が示された演奏です。第6番は、第2、3楽章のみが先に公開演奏されました。しかし部分初演の成功があったのにもかかわらず、全曲初演されたのはブルックナーの死後でした。一方、1884年12月にライプツィヒで初演されたこの第7番。初演は大成功をおさめ、この成功がブルックナーにさらなる作曲家として名声をもたらすこととなります。美しい旋律と色彩豊かなオーケストレーションにより、現代でも演奏機会の多い作品です。オケから自然な響きを引き出し、この上ない美しさを感じる演奏です。第8番は、ブルックナーが完成させた最後の交響曲であり、最高傑作と評価の高い交響曲。曲の長さ、多彩な展開、圧倒的なクライマックスとあらゆる意味でこれまでの作品を上回っています。ブルックナーの強烈な個性が作品に溢れんばかりのエネルギーを与え、またブロムシュテットの底知れない溌剌としたエネルギーを感じる演奏です。そして最後未完の大作、第9番。終楽章が未完のまま1896年に作曲者は亡くなっています。本盤ではブロムシュテットは、ベンヤミン=グンナー・コールス校訂による原典版を用いています。
キングインターナショナル
ブルックナー:
CD1(49’53)
交響曲第1 番 ハ短調 WAB 101[1865/66年リンツ稿,1955 年ノヴァーク版]
録音:2011年6月
CD2(62’03)
交響曲第2 番 ハ短調 WAB 102 [1872年稿,キャラガン校訂版]
録音:2012年3月
CD3(63’07)
交響曲第3 番 ニ短調 WAB 103 [1873年第1稿,1977 年ノヴァーク版]
録音:2010年9月
CD4(67’05)
交響曲第4 番 変ホ長調『ロマンティック』 WAB 104 [1878/80年,1953年ハース版]
録音:2010年10月
CD5(74’51)
交響曲第5 番 変ロ長調 WAB 105[1875/77年,ノヴァーク版]
録音:2010年5月
CD6(58’38)
交響曲第6 番 イ長調 WAB 106[1879/81 年,ハース版]
録音:2008年9月
CD7(68’52)
交響曲第7 番 ホ長調 WAB 107[1881/83年,ハース版]
録音:2006年11月
CD8(30’56)&CD9(52’14)
交響曲第8 番 ハ短調 WAB 108[1890年,ハース版]
録音:2005年7月
CD10(59’20)
交響曲第9 番 ニ短調 WAB 109 (1887/96年,コールス校訂版2000 年)
録音:2011年11月
ヘルベルト・ブロムシュテット(指揮),ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
録音:2005年~2012年、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス(ライヴ)
レコーディング・プロデューサー:マティアス・ベルンハルト
レコーディング・エンジニア:イヴリン・リューレマン
レコーディング・マスタリング:ヴィリュス・ケラス
プロデュース:ポール・スマチュニュイ