必聴傾聴盤紹介~「C.P.E.バッハ:交響曲集/ベルリン古楽アカデミー」

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『カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ:交響曲集』
ベルリン古楽アカデミー(Akamus)
コンサータマスター:平崎真弓、ゲオルク・カッルヴァイト
harmonia mundi
輸入盤CD HMM902317 2024年3月下旬発売予定
輸入盤国内仕様 KKC-6844 2024年5月下旬発売予定

収録情報

C.P.E.バッハ:交響曲集
交響曲
・ハ長調 H.649, Wq.174*
・ニ長調 H.651, Wq.176*
・ホ短調 H.652, Wq. 177+
・ト長調 H.657, Wq. 182-1+
・ハ長調 H.659, Wq.182-3+
・イ長調 H.660, Wq. 182-4*
・ロ短調 H.661, Wq.182-5+

ベルリン古楽アカデミー
〔コンサートマスター:平崎真弓(*印)、ゲオルク・カッルヴァイト(+印)〕

録音:2023年1月、b-sharp

★ベルリン古楽アカデミーによる長年のプロジェクト、C.P.E. バッハの交響曲全曲録音の最終巻の登場です!
コンサートマスターは平崎真弓(トラック表で*印)、そしてゲオルク・カッルヴァイト(トラック表+印)。平崎真弓は《ビーバー:ロザリオのソナタ》(KKC6610) でレコード芸術2023年2月号特選、さらに2024年2月発売のムック「レコード芸術2023年総集編」で美山良夫氏セレクトの音楽史部門の第3位に選ばれるなど、その評価、注目度とも急上昇中の奏者です。ゲオルク・カッルヴァイトは長年同団でコンサートマスターを務めており、その音楽づくりは広く知られるところです。
★ 1982 年結成のベルリン古楽アカデミーが20 年あまり取り組んでいるC.P.E. バッハ。J.S. バッハの息子であり、その自由と独創性によってハイドンやモーツァルトへの道を切り開いた重要な存在です。C.P.E. バッハの交響曲は、管弦楽のための交響曲が11、弦楽のための交響曲が8(うち1曲は、管弦楽のための交響曲の弦楽版)。これまでの録音は、HMC 901622 にWq 183-2, 183-3, 182-2, 182-6、HMG 501711 にWq 173, 178, 179、HMM902420 にWq 175, 183-4、HMM 902601 にWq 180, 181、HMC 902132 にWq 173、HMC 902167 にWq.183-1 が収録。
★ C.P.E. バッハの交響曲は、ベルリン時代(1738-68) そしてその後移ったハンブルク(1768 年以降) の初めのころに多く書かれました。当盤に収録の174, 176, 177 はいずれも1750 年代半ば、C.P.E. の創作力が最高潮にあった時期の作。ベルリン古楽アカデミーの実力をもってしても、C.P.E. バッハの交響曲は創意に満ち、大きなチャレンジだといいます。期待にたがわずC.P.E. のオリジナリティと創意を、このうえない形で聴くことができる内容です。今回、平崎真弓がコンサートマスターを務める楽曲もあり、楽団の世代交代をも感じさせる重要な録音の誕生となりました。

キングインターナショナル

 カール・フィリップ・エマヌエル・バッハは、いまでこそ、「大バッハの次男」という前置きをせずとも一人の作曲家としての地位を確立していますが、つい十数年前まではまだまだ父親の付属のような扱いが続いていました。いち早くヨーロッパの古楽シーンでその独自の作風が再評価され、古楽演奏の隆盛とともに作品が数々と録音され、やっとその作曲家としての実像が知られるようになってきたのは21世紀に入ってからでしょう。そうした「C.P.E.バッハ・ルネサンス」において、大きな役割を果たしたのが、フライブルク・バロック・オーケストラ、コンチェルト・ケルン、そしてベルリン古楽アカデミー(Akamus)というドイツの先鋭的ピリオド楽器オーケストラでした。衝撃的とも言える彼らの名演なくしては、C.P.E.バッハのそしてバッハの息子たちの復興はならなかったでしょう。
 今回登場するベルリン古楽アカデミーによるC.P.E.バッハの交響曲集は、harmonia mundiレーベルにおける彼らの集大成で、これで彼らのC.P.E.バッハの交響曲の録音は最後になるとのことです。いわゆる「ハンブルク交響曲」のうちの4曲に、3曲を加えた7曲を収録。すべて3楽章形式で、古典派以降の交響曲と比べれば、小規模ですが、聴き手の予想をことごとく覆す和声展開、不自然な「間」、驚愕の曲構成、などC.P.E.バッハの個性が炸裂した作品ばかりです。特に2曲の短調の交響曲(ホ短調 H.652, Wq. 177とH.661, Wq.182-5)は、ハイドンの40番代の短調交響曲やモーツァルトの交響曲第25番を思わせる劇的な作品で、まさに疾風怒濤。
 C.P.E.バッハは「多感様式」(突然の感情表現の変化が特徴の様式)という文字からはあまりイメージしにくい様式名を持って語られることが多いですが、このアルバムに収録されている独特の作風が炸裂した交響曲を聴けば、作曲家としての強烈な個性を理解することができるでしょう。
 古楽における先鋭的オーケストラの地位を40年近く保ち続ける最高峰のピリオド楽器オーケストラ、ベルリン古楽アカデミーによる演奏は、鋭く刻むリズム、切れ味抜群のフレージング、強めのアクセントなど濃密な表現でC.P.E.バッハの作品の個性を前面に押し出し、その面白さを最大限まで伝えてくれています。攻めに攻めた鮮烈な解釈はこのオーケストラならではです。長年、同オーケストラのコンサータマスターを務める実力者ゲオルク・カッルヴァイトと、いまや世界的バロック・ヴァイオリン奏者となった平崎真弓の二人が交互でコンサータマスターを務め、このエキサイティングな演奏を引き締めています。
 どこに着地するか分からないスリリングなC.P.E.バッハの音楽世界を堪能できる最高の1枚です。(山野楽器スタッフ)

ベルリン古楽アカデミーの他のCDも大好評発売中!
『モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」、交響曲第31番「パリ」、オーボエ協奏曲』
『テレマン:ヴィオラ協奏曲集』

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