アーティスト特集~バンジャマン・アラール~『J.S.バッハ:鍵盤作品全集Vol.3~フランス風に』

  • URLをコピーしました!
目次

『J.S.バッハ:鍵盤作品全集Vol.3~フランス風に』

[CD1]~フランス風に
J.S.バッハ:序曲(組曲)ヘ長調 BWV 820、組曲 ヘ短調 BWV 823、プレリュード(アルペッジョによるプレリュード) ハ短調 BWV 921、組曲 変ホ長調 BWV 819
ヨナン・カスパール・フェルディナンド・フィッシャー(1656-1746):プレリュード第8番、シャコンヌ(ト長調/クラヴサン曲集 op.2, 1696より)
J.S.バッハ:3つのメヌエット BWV 841, 842, 843
F.クープラン:クープラン(クラヴサン曲集第4巻第21組曲)
J.S.バッハ:組曲 イ短調 BWV 818a
F.クープラン:第5のプレリュード
J.S.バッハ:プレリュードを伴う組曲第1番 イ長調 BWV 806a(イギリス組曲第1番初稿)

バンジャマン・アラール(チェンバロ/18世紀初頭に製造されたチェンバロ(フランス、アッサ城))
録音:2018年4月、アッサ城(フランス)

harmonia mundi KKC6236(3CD) 
輸入盤国内仕様

 世界中で大絶賛されている気鋭の鍵盤奏者バンジャマン・アラールによるバッハの鍵盤作品全集の第3巻。毎回テーマを決め、バッハの作品をチョイスし、収録したバッハの作品と関連性の高い同時代の別の作曲家の作品も併せて収録しているというこだわりのシリーズです。今回のテーマは「フランス風に」。CD1は表題タイトル通りで、バッハがその作品を研究していたフランス・バロックの巨匠フランソワ・クープランの作品を間に挟みながら、その影響の強いチェンバロ作品を収録しています。フランス風序曲ではじまる「BWV820」、ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための鍵盤小品集からの「3つのメヌエット」など、まさにフランス風のチェンバロ音楽を、フランスの古城アッサ城に所有されている歴史的チェンバロで演奏しています。バッハのフランスからの影響をまとめて知ることができる内容です。CD2は「いと高きところには神にのみ栄光あれ」をテーマにオルガン作品を収録。他のフランス・バロックのオルガン曲も交えながら、テーマのコラールに基づく作品をまとめて収めています。ここには、同じコラールを使いながら、和声や展開の変化でどのようにバッハが作品を個性化しているのかを音で理解できるような仕掛けがあります。なお、ここでは、フランスの教会にある1710年製のジルバーマンオルガンを使用しています。最後に収録された「パッサカリアBWV582」は圧巻!CD3は「舞曲による組曲」がテーマ。「イギリス組曲」の第2&4番、「リュートチェンバロのための組曲」を収録しています。イギリスと付いているものの、実はバッハが付けたタイトルではない「イギリス組曲」は、冒頭に大規模なプレリュードが置かれるフランス様式の舞曲集で、アラールはジャーマンタイプのチェンバロでダイナミックで迫力ある演奏を聴かせてくれます。それにしても舞曲の個性の描き分け方は天才的と言うべきものです。3枚通してバッハが如何にフランス音楽を取り入れ、その要素を自分の音楽へと昇華していったかがよく分かる内容となっています。アラールのすばらしい演奏でフランスから影響を受けたバッハへの理解が大いに深まる録音です。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

Be Happy With Music
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次