必聴傾聴盤紹介~『Pray with Bach/中田恵子』

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『Pray with Bach / 中田恵子』

中田恵子(オルガン/マルティン・プリューガー1993年製作)
キングインターナショナ KKC091 国内盤 
録音:2022年3月28~31日/日本キリスト教団鎌倉雪ノ下教会
録音:斎藤啓介(アルトゥス・ミュージック)
写真:福盛進也
デザイン:佐藤ゆめ

曲目詳細

J.S.バッハ:
前奏曲とフーガ イ短調 BWV543
「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」BWV599
「主キリスト、神のひとり子」BWV601
「天から天使の群が来たれり」BWV607
「甘き喜びのうちに」BWV608
「イエスよ、わが喜び」BWV610
「主なる神よ、いざ天の扉を開きたまえ」BWV617
「おお神の小羊、罪もなしに」BWV618
「われらを救いたもうキリスト」BWV620
「キリストは甦りたまえり」BWV627
「来たれ、造り主にして聖霊なる神よ」BWV631
前奏曲とフーガ イ長調 BWV536
「主イエス・キリストよ、われらを顧りみたまえ」BWV632
「愛するイエスよ、われらはここに」BWV633
「天にましますわれらの父よ」BWV636
「アダムの堕落によってすべては朽ちぬ」BWV637
「われ汝を呼ぶ、イエス・キリストよ」BWV639
「われら悩みの極みにあるときも」BWV641
「人はみな死すべきさだめ」BWV643
「ああ、いかに虚しく、いかにはかなき」BWV644
トッカータとフーガ ヘ長調 BWV540

 ファースト・アルバム『Joy of Bach』(KKC6035)がフランスの権威ある音楽雑誌Diapasonにおいて高く評価され、日本でも注目を集めたオルガニスト、中田恵子のセカンド・アルバム『Pray with Bach』。バッハのコラールが集められた曲集「オルガン小曲集(オルゲルビュヒライン)」からの楽曲を中心に、前奏曲とフーガ、トッカータとフーガを最初と真ん中と最後に挟み込んだプログラムで、中田恵子が教会付きのオルガニストを務める鎌倉雪ノ下教会のオルガンを使用しています。この選曲は、コロナ禍下にあって、教会での礼拝もままならない社会状況の中、普段、礼拝で弾いている楽曲を録音に取り上げたいという思いでなされたといいます。小曲の中にもさまざまな工夫が凝らされたバッハの珠玉の楽曲の数々を実に丁寧に紡いでいきます。ただただオルガンとバッハの楽曲と真摯に向き合い、虚飾を排したその演奏は、聴き手の心の奥底にまでじんわりとあたたかく染み入ってくるものでしょう。ブックレットには、中田恵子によるこのアルバムへの思いと各楽曲の丁寧で分かりやすい中田恵子自身による解説を収録しています。演奏・解説ともにバッハの楽曲への愛情と敬意が感じられるでしょう。また録音は、ALTUSレーベルで数々の名録音を手掛けている名エンジニア、斎藤啓介氏。オルガンの美しい音色とその音色が広がる教会の空間をとらえた超優秀ワンポイント録音です。ジャケット及びブックレットにはドラマーで作曲家の福盛進也が撮り下ろした雰囲気ある写真が使われており、装丁、デザインも美しいものとなっています。演奏から、プログラム・解説・録音・アートワークに至るまで実に丁寧に作られた美しいCDで手元に置いておきたくなることでしょう。すばらしいバッハのオルガン・アルバムです。

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