アーティスト特集~フランチェスコ・コルティ~『J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲第2集』

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『J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲集第2集』

J.S.バッハ:
①チェンバロ協奏曲第3番 ニ長調 BWV1054
②チェンバロ協奏曲第5番 ヘ短調 BWV1056
③チェンバロ協奏曲第6番 ヘ長調 BWV1057
④フルート、ヴァイオリンとチェンバロのための三重協奏曲 イ短調 BWV1044
フランチェスコ・コルティ(チェンバロ/1738年製作のクリスティアン・ファーターの楽器に基づく、アンドレア・レステッリによる1998年製作の楽器)
イル・ポモ・ドーロ
ヴァイオリン:エフゲニ・スヴィリドフ**
       アンナ・ドミトリエヴァ
       ロセッラ・クローチェ
ヴィオラ:ステファノ・ロッシ
チェロ:ルドヴィコ・ミナージ
ダブルベース:パオロ・ズッケリ
バスーン:アレッサンドロ・ノゼッロ
リコーダー:アンドレス・ロカテッリ*
      アレッサンドロ・ノゼッロ*
トラヴェルソ:マルチェッロ・ガッティ**
*BWV1057のソリスト  **BWV1044のソリスト
セッション録音:2020年3月2-8日/ヴィッラ・サン・フェルモ、ロニゴ(イタリア)

PENTATONE KKC6323
輸入盤国内仕様

 第1集の鮮烈な演奏で、バッハ録音史に確かな一歩を刻み込んだ気鋭のチェンバロ奏者、フランチェスコ・コルティとイル・ポモ・ドーロによるバッハのチェンバロ協奏曲の第2集は、第1集とは異なり、各パート一人という小編成での演奏となっています。これにはコルティ自らが曲の個性を考えて、第2集に収録した4曲はこの編成での演奏がふさわしいとしているのです。この辺りは解説に収録されたコルティ自身による巻頭言に詳しいのでぜひ解説をご覧ください。この編成の効果もあり、この演奏は、比較的ダイナミックな曲を選んだ第1集と比べて、チェンバロと弦楽合奏の掛け合いがより親密度を増していて、バッハの繊細なテクスチャも響きに埋もれることなく浮かび上がってきています。また第3番BWV1054では通奏低音にバスーンを加えるなど編成上の工夫は実に凝っています。すべてはバッハの曲を綿密に研究したコルティの的確な判断と言えるでしょう。それにしてもコルティの演奏のセンスには驚愕せざるを得ません。フレーズをつなぐちょっとした装飾であったり、“間”であったりが絶妙なのです。バッハ演奏、古楽演奏では装飾は当然ですが、コルティの装飾は頻繁に加えられているにも関わらず、センスが良いので極めて自然で、この点だけ取ってみても本当にすばらしいのです。全体的にも弦楽合奏も含めて非常に生き生きとしていて、生命力に満ちあふれています。しかも緩やかな楽章での濃密な表現も聴き物で、聴かせどころも心得ています。間違いなくバッハのチェンバロ協奏曲の録音史に輝く演奏となるでしょう。また解説には収録楽曲の解説が詳しく掲載されていて、これを読んでコルティの演奏を聴くと曲の理解が進むこと請け合いです。バッハ・ファンなら絶対に聴いていただきたい録音です。

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