必聴傾聴盤紹介~『スコルダトゥーラの技法/平崎真弓』

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『スコルダトゥーラの技法 / 平崎真弓』

平崎真弓(ヴァイオリン)
クリストフ・ウルバネツ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ヨハネス・レッシャー(ヴィオローネ)
ミヒャエル・フライムート(リュート、テオルボ、バロック・ギター)
ロレンツォ・ギエルミ(チェンバロ)
セッション録音:2019年11月16-19日/ドイツ放送カンマームジークザール(ケルン)

PASSACAILLE RECORDS/キングインターナショナル KKC 6314

収録情報

『スコルダトゥーラの技法』~ビーバーからタルティーニまでのヴァイオリン作品集
①ハインリヒ・イグナツ・フランツ・ビーバー(1644-1704):
 ソナタ第6番 ハ短調、C143 ~ ヴァイオリン独奏のためのソナタ集(ザルツブルク/ニュルンベルク1681年)
②ヨハン・ヨゼフ・フィルスマイヤー(1663-1722):
 ヴァイオリン・パルティータ第5番 ト短調 ~ 宮廷のための技巧的調べ(ザルツブルク1715年)
③カルロ・アンブロジオ・ロナーティ(1645-c.1715):
 ヴァイオリン・ソナタ第1番(第7番)ト短調 ~ ヴァイオリンと低音のための12のソナタ(ミラノ1701年)
④作曲者不明:
 ヴァイオリン独奏のためのバレット ト短調 〜 クレムジア/クロムニェジーシュに残る手稿譜 A4683(1670年以後)
⑤ピエトロ・カストルッチ(1679-1752):
 ソナタ第12番 イ長調 ~ ヴァイオリンとヴィオローネまたはチェンバロのためのソナタ集作品1(アムステルダム1718年)
⑥ジュゼッペ・タルティーニ(1692-1770):
 パストラーレ イ長調 ~ 低音を伴うヴァイオリンのための12のソナタ作品1(ロンドン1734年)
⑦ビアッジョ・マリーニ(1594-1663):
 ヴァイオリンのための創意の第2ソナタ~ 風変わりで当世風のソナタ、シンフォニー、カンツォン...作品8(ヴェネツィア1629年)

平崎真弓(ヴァイオリン)
使用楽器
・クリスティアン・ザガー(チューリッヒ2003年)
スコルダトゥーラ g-d’-a’-e’’(ビーバー&マリーニ)
スコルダトゥーラ g-d’-a’-d’’(ビーバー、フィルスマイヤー&作曲者不明の作品)
スコルダトゥーラ a-e’-a’-e’’(タルティーニ)
スコルダトゥーラ g-d’-a’-c’’(マリーニ)
・ジュゼッペ・ガッフィーノ(パリ1750年頃)
スコルダトゥーラ g-d’-g’-d’’(ロナーティ)
・ティエルケ周辺の製作者(ハンブルク1700年頃)
スコルダトゥーラ a-e’-a’-e’’(カストルッチ)

クリストフ・ウルバネツ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ヨハネス・レッシャー(ヴィオローネ)
ミヒャエル・フライムート(リュート、テオルボ、バロック・ギター)
ロレンツォ・ギエルミ(チェンバロ)

セッション録音:2019年11月16-19日/ドイツ放送カンマームジークザール(ケルン)

 スコルダトゥーラとは通常の弦楽器の調弦とは異なる変則調弦を施す技法の事。17世紀前半のバロック時代より作品の個性を生み出す表現の一つとして用いられ始めました。このスコルダトゥーラを用いた作品の歴史をたどる画期的一枚がこのアルバムです。スコルダトゥーラと言えば、最も有名な作品はビーバーの傑作「ロザリオのソナタ」ですが、ここではあえてそれを外し、スコルダトゥーラを初めて作曲に使用したとされる17世紀イタリアのビアッジョ・マリーニの作品から、ビーバー、フィルスマイヤーというスコルダトゥーラが最も流行したボヘミアの作曲家たちの作品、そして18世紀イタリアの「悪魔のトリル」で知られるタルティーニ、イタリアからイギリスに渡って活躍したカストルッチの作品まで、時代も国も異なるスコルダトゥーラ作品を集めているので、スコルダトゥーラの歴史をたどる、これまでにない画期的な構成となっています。演奏者の平崎真弓は、現在ドイツを中心に活躍するバロック・ヴァイオリンの奏者で、このアルバムでも共演しているロレンツォ・ギエルミやクリスティーネ・ショルンスハイム、ハンス=クリストフ・ラーデマン、コンチェルト・ケルンといった古楽界の巨匠や最高峰のアンサンブルからの信頼が厚いヨーロッパの古楽演奏の最前線にいる現代屈指の名手です。このアルバムのコンセプトは平崎真弓を中心に、ギエルミら共演者によって決定されたそうです。スコルダトゥーラによって音のパレットを大きく拡張し、色彩鮮やかなヴァイオリンの音を聴かせてくれます。通常と調弦が異なるのですから、スコルダトゥーラ作品を演奏するのは大変な困難を伴いますが、平崎真弓はそうした困難さを微塵も感じさせない余裕たっぷりの演奏を披露しています。そのテクニックは圧巻です。スコルダトゥーラという特殊奏法の面白さを堪能できるまたとないアルバムです!

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