アーティスト特集~バンジャマン・アラール~『J.S.バッハ:鍵盤のための作品全集Vol.6~”Das Wohltemperierte Klavier”(うまく調律されたクラヴィーア)』

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『J.S.バッハ:鍵盤のための作品全集Vol.6~
“Das Wohltemperierte Klavier”(うまく調律されたクラヴィーア)』

W.F.バッハのためのクラヴィーア小曲集&6つの小さなプレリュード
1. プレリュード ハ長調 BWV 846a
2. フーガ ハ長調 BWV 953
3. 運指練習曲 ハ長調 BWV 994
4. 小プレリュード ハ長調 BWV 924
5. プレリュード ハ長調BWV 924a(W.F.バッハの習作?)
6. プレリュード ハ長調BWV 933°
7. プレリュード第12番 ヘ短調 BWV 857
8. プレリュード第11番 ヘ長調 BWV 856
9. 小プレリュード ヘ長調 BWV 927
10. プレリュード ヘ長調 BWV 928
11. プレリュード第6番 ニ短調 BWV 851
12. プレリュード ニ短調 BWV 935°
13. 「イエスよ、わが喜び」(コラール前奏曲)ニ短調 BWV 753
14. プレリュード第2番 ニ短調 BWV 926
15. プレリュード&フゲッタ ニ短調 BWV 899
16. プレリュード&フゲッタ ト長調 BWV 902a & BWV 902a/2
17. 小プレリュード ト短調 BWV 930
18. プレリュード第10番 ホ短調 BWV 855a
19. フーガ ホ短調 BWV 855a/2
20. プレリュード ホ短調 BWV 938°
21. プレリュード ホ短調 BWV 932*(W.F.バッハによるもの?)
22. プレリュード ホ長調 BWV 937°
23. プレリュード 第9番 ホ長調 BWV 854
24. プレリュード 第4番 嬰ハ短調 BWV 849
25. プレリュード 第3番 嬰ハ長調 BWV 848
26. 「尊き御神の統べしらすままにまつろい」コラール前奏曲 イ短調 BWV 691
27. プレリュード第4番 ニ長調 BWV 850
28. プレリュード ニ長調 BWV 925
29. プレリュード ニ長調 BWV 936°
30. アルマンド ト短調 BWV 836*(W.F.バッハとの合作?)
31. プレリュード 第8番 変ホ短調 BWV 853
32. プレリュード 第2番 ハ短調 BWV 847a
33. プレリュード ハ短調 BWV 934°
°=《6つの小さなプレリュード》BWV 933-938より

バンジャマン・アラール
使用楽器:クラヴィコード/ヨハン・アドルフ・ハス(1763年ハンブルク)製、プロヴァン楽器博物館コレクション
録音:2021年6月8-11日、プロファン(セーヌ=エ=マルヌ県)

harmonia mundi KKC6511(3CD) 
輸入盤国内仕様

 バンジャマン・アラールが進める画期的なバッハの鍵盤作品全集の第6弾は、いわゆる『平均律クラヴィーア曲集第1巻』と呼ばれる『うまく調律されたクラヴィーア第1巻』。同曲の成立300年という記念の年となる2022年に合わせてのリリースとなりました。『平均律クラヴィーア曲集第1巻』の演奏では、CDジャケットにも写真が掲載されているように三弾鍵盤の大型のチェンバロが使用されています。その豊かな響きを十全に生かして、各調性の個性を際立たせながら、全体として完璧にまとめてくるところが、アラールのすごいところ。冒頭からかなり早めの驚くべきテンポ設定がなされていますが、決して性急なイメージを与えず、逆に説得力さえ感じさせるのです。しかも曲順はアラールのこだわりによって入れ替えられています。モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンら、その後の時代の作曲家にも大きな影響を与えたこの曲集のすごさを再認識できる演奏と言えるでしょう。また『W.F.バッハのためのクラヴィーア小曲集&6つの小さなプレリュード』もあわせて収録。これは、長男ヴィルヘルム・フリーデマンが10歳になるころに書き始められ、鍵盤の練習用にまとめられた曲集ですが、後の、『インヴェンションとシンフォニア』や『平均律クラヴィーア曲集』の原型となる楽曲も含んでいるのです。『平均律クラヴィーア曲集第1巻』のカップリング作品としては適したものと言えるでしょう。アラールはこの作品をクラヴィコードで演奏しています。これは、バッハが自宅での作曲に際して、小型の鍵盤であるクラヴィコードを使用していたことがほぼ疑いないという理由からであり、理にかなったことなのです。わずかながら、揺らぎ(ヴィブラート)をかけられる唯一の鍵盤楽器であるクラヴィコードの特性を生かして、繊細な表現で作品を構築していきます。子供向けの練習曲集といえど、一切手を抜かないバッハの作品のすばらしさを感じられるでしょう。
 アラールによって新しく姿を現した「鍵盤の旧約聖書」。バッハ録音に、また新たな歴史が作られたのです!

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